あじさいの花再び咲かせる 名菓、妻が引き継ぐ 浦川原区虫川の東屋菓子店

 梅雨時に涼やかな色の花を咲かせるアジサイ。浦川原区では「村の花」として親しまれ、保倉川堤防の並木が名所で知られる。同区虫川の東屋菓子店が作るらくがん「あじさい」は、「東頸の名菓」として親しまれてきた。店主の急逝により製造が一時途切れたが、夫の跡を継いだ妻が再びその「名花」を咲かせている。

 製造するのは本山照子さん(65)。2代目・茂治さん(72)と結婚し、看板商品「大杉羊羹(ようかん)」などを共に作ってきた。しかし昨年暮れ、茂治さんが病気で急逝。途方に暮れた照子さんは廃業を考えたが、常連客や取引先の応援、そして家族の協力を励みに店を引き継ぐことを決意した。

「あじさい」の木型を持つ照子さん。「大事なもの」と話し、手入れを欠かさない

 あじさいは、6~8月の季節限定商品。もち米が原料のみじん粉に砂糖を加えて練り、あんこを挟んでアジサイの花びらが彫られた木型に入れ成形する。抹茶やシソの粉末などを加え、彩りや風味に変化を付ける。特製の木型と製法は10年ほど前、同区有島の老舗菓子店から譲り受けた。

 新型コロナウイルス禍で帰省ができない同区出身者が懐かしみ、同店の菓子を扱う浦川原物産館(同区顕聖寺)に定期的に注文を入れるという。照子さんは「おいしい、という声が励み。くよくよしても仕方がない。どうせやるなら楽しく続けたい」と前を向き、菓子作りに精を出す。

 あじさいは6個入り770円(税込み)。問い合わせは

花びら模様が浮き出る、らくがん「あじさい」

東屋菓子店(電025・599・2512)、浦川原物産館(電025・599・2387)へ。

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