清姫、安珍追い ヘビの姿で川渡り 厚木の人形浄瑠璃劇団「日高川入相花王 渡し場の段」など 7月中に動画公開へ

あつぎひがし座のメンバーが、安珍を追う清姫の情念を表現した人形浄瑠璃「日高川入相花王 渡し場の段」=厚木市文化会館小ホール

 神奈川県厚木市内のアマチュア人形浄瑠璃劇団「あつぎひがし座」(林田洋子代表)が13日、同市恩名1丁目の市文化会館小ホールで、47回目となる人形浄瑠璃の自主公演を無観客で行い、動画を収録した。昨年はコロナ禍で中止になったが、今年は少しでも多くの人に魅力を伝えようと動画を収録した。

 あつぎひがし座は1975年、当時は女子高だった県立厚木東高校人形浄瑠璃部の卒業生がOG会を結成したのが始まりで、95年に「あつぎひがし座」に改称した。年1回の自主公演を続け、大阪の文楽座で30年以上活躍した人形遣いの勘緑(かんろく)さんの指導を受けている。

 今回の演目は「二人三番叟(ににんさんばそう) 鈴の段」と「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら) 渡し場の段」。「二人三番叟」は儀式的な祝いの演目で、公演に協力する同校人形浄瑠璃部「ひがし座」が演じた。

 「日高川入相花王 渡し場の段」は、僧侶の安珍を恋う清姫が、安珍を追って日高川の渡し場に来るが、船頭に断られて川を渡れない。怒った清姫がヘビの姿になって川を渡りきるストーリー。

 人形は「あつぎひがし座」の3人の遣い手が頭や両手、両足の動きを分担して操るため、3人の呼吸がぴたりと合う必要がある。収録前のリハーサルでは勘緑さんが厳しい口調で指導する場面もみられ、緊張感が漂った。収録では、見事に呼吸を合わせて渡し場の段を演じきった。

 林田代表は「みんなでつくり上げるチームワークが人形浄瑠璃の魅力。動画を通じて若い人たちにもっと魅力を知ってもらいたい」と話した。

 動画は7月中に市のユーチューブチャンネル「あつぎ文化芸術・生涯学習発信チャンネル」で公開する。

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