【宝塚記念/追い切りジャッジ】クロノジェネシスに辛口「B」評価 「闘争心は万全ではない」

■クロノジェネシス

【中間調整】前走はドバイシーマクラシックに出走。最後は英のミシュリフ、JRAのラヴズオンリーユーと3頭での叩き合いとなり、ミシュリフにクビ差届かずの2着に終わった。それでも自身初の海外遠征だったし、直線では再三ぶつけられた不利があったことを考えれば負けて強し。JRA現役最強馬の矜持は示せたか。その後はレース連覇、そしてグランプリ3連覇が懸かるこのレースに絞り、牧場での休養を挟んで6月2日に栗東へ帰還している。6日にCW15-15で脚慣らしを行うと、2週前追いの9日は本番騎乗予定ではないものの福永祐一騎手が騎乗し、CWでまずまずの加速を披露。海外遠征の疲れはしっかり抜けたようだ。1週前追いがこの中間初の併せ馬。この時は本番でも騎乗するC.ルメール騎手が跨って相手を追走したが、前向き過ぎるあまり4角手前で早々に抜け出す形に。結局直線でも体を並べない状態のまま走りきっている。

◆【宝塚記念2021/追い切りジャッジ】レイパパレは「S」評価 自己ベスト更新「逞しさが格段に向上」

【最終追い切り】1週前の併せ馬が誤算と言える内容だったため、今週は道中馬の後ろでジッと我慢させることに徹した内容。最終コーナーでスッと取り付くと、直線ではさすがの脚力で伸び、抜け出しにかける。ただし、そこで抑え気味にした分、相手に盛り返されてしまい突き放すまでには至らなかった。

【見解】ウッド主体でしっかり時計を出すいつもの調整ペースは踏襲できており、海外遠征帰りとは思えない順調さは強調できる。ただし先週、今週と若干だけではあるが精神面で“ボタンの掛け違い”があるような面は否めない。仕掛けられての伸び、脚捌きなどはさすがの迫力。力量やコース適性などから恥ずかしい競馬にはならないだろうが、レースに向かう闘争心がまだ万全ではないのかも、という懸念は感じるところだ。

総合評価「B」

◆【宝塚記念2021/追い切りジャッジ】クロノジェネシスを上回る「A」評価 「心身のバランスは相当いい」

◆【宝塚記念2021/枠順・過去傾向】クロノジェネシスの5枠は過去10年で未勝利、最多7勝の8枠にキセキ

◆【宝塚記念2021/ラップ・馬場適性】クロノジェネシスに警鐘 「“鬼門”のレース上がり35秒台の可能性」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

© 株式会社Neo Sports