【新型コロナ】神奈川・大磯町「プールはOK、海はNG」 官民で判断、なぜ分かれた?

海水浴発祥の地として知られる大磯海水浴場=大磯町大磯(2018年撮影、同町提供)

 プールはよくて、海水浴場は駄目─。神奈川県大磯町の遊泳スポットとして人気がある大磯ロングビーチと大磯海水浴場で、今夏の営業・開設の可否について判断が分かれた。

 子どもたちから「同じ泳ぐ場所なのに、どうして違うの?」という疑問の声が聞こえてきそうだが、入場制限など感染対策を徹底できるかどうかに加え、官民の立場といった“大人の事情”も浮かび上がった。

 日本の海水浴発祥の地として知られる大磯海水浴場。1885(明治18)年に療養場として開設したのが始まりだ。

 神奈川県内外から子連れやサーファーらが足を運び、来訪者は毎年8万~10万人に上る。昨年は開設を中止したものの、町によると約2万人が訪れた。

 海水浴場を開設した場合、密集、密接の回避など対策が必要だが、海水浴場を運営する町の担当者は「ゲート管理をしていないため、入場制限や検温などができない」と話す。発熱など感染症状があっても出入りでき、リスクを抑えるのが難しいという。

 一方、大磯ロングビーチを運営する大磯プリンスホテルの広報担当者は「お客様と従業員の安全を第一に考えて検討した結果、密を回避して営業できると判断した」と説明する。

 こちらも県内有数の夏のレジャースポットで、2019年は計約17万3千人(1日最大約8千人)が来場した。

 全長約140メートル、高低差約15メートルのウォータースライダーや波のプールなどアトラクションが充実し、子連れを中心に人気だ。

 昨年は隣接するホテルの宿泊客に限って入場を認めたが、今年は日帰り客を含めて1日5千人を上限とし、7月16日から営業する。

 検温や設備の消毒のほか、ロッカーや更衣室など屋内施設については15分以内の利用を呼び掛け、入水時以外はマスクの着用を求めるという。

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