【新型コロナ】看護師の卵にワクチン優先接種 「医療従事者」の対象拡大が追い風、病院実習再開にも光

新型コロナワクチンの接種を受ける看護学生たち=6月11日、横浜市西区のけいゆう病院

 新型コロナウイルス感染拡大の余波が直撃していた看護学生に、光が差し込み始めた。

 集団感染への警戒や病床逼迫(ひっぱく)などで病院実習が困難になり、昨年は患者と接しないまま卒業するケースが続出。一方、ワクチンを優先接種する「医療従事者」に医療系学生が含まれると、接種を買って出る受け入れ病院が相次いだ。

 「学生たちの学びを止めたくない」。医療現場の思いが看護師の卵たちの未来を支えている。

 6月19日、横浜市泉区の国際親善総合病院。県立よこはま看護専門学校(同市旭区)の3年生のうち、希望者約60人がワクチン接種を受けた。

 これまで実習生を受け入れてきた同病院が医療従事者枠で確保したワクチンで、患者への接種の予行練習も兼ねて実施した。

 「これで先が見えた。病院実習も少しずつ再開して校内クラスター(感染者集団)の恐れもあったが、ようやく安心できる」。同校の長岡美穂校長は表情を緩めた。

 感染拡大で病院実習の中止が相次いだ昨年度。日本看護学校協議会共済会の調査によると、全国の看護職養成学校の約97%が病院実習を断られた経験があったという。

 病院側がクラスター発生への警戒を強めたことが背景で、学生が患者と接した時間を例年通り確保できた養成校は11%にとどまった。

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