◆コロナ禍、「与えられた時間 成長のために」
夏の甲子園を懸けた球児たちの熱戦が2年ぶりに戻ってきた。10日に開幕した全国高校野球選手権神奈川大会。サーティーフォー保土ケ谷球場(横浜市保土ケ谷区)では出場176校を代表し、厚木高主将の杉山史浩(3年)が「明るい未来に向かう日本中の心の懸け橋となりたい」と選手宣誓した。
「距離は思いやり。球場に来られなくても、声は出せなくても、応援する気持ちは届いています。一投一打に魂を込め、感動と希望を皆さまに与えられるような試合をすることを、今大会に参加する高校球児一同で誓います」
ちょうど2分。澄み切った青空の下、力いっぱいの野太い声がグラウンドに響き渡る。「足が震えるぐらい緊張したけど、自分の思いを言葉にできた。高校野球は熱いんだぞと」。杉山は額に汗をにじませ、はにかんだ。
6月の組み合わせ抽選会で志願し、応募103人の中から大役を射止めた。同学年のチームメートと学校の昼休みの時間を使って意見を出し合い、「しっくりきた」という言葉の一つは「明るい未来」だ。
新型コロナウイルスが猛威を振るった昨春以降、休校や大会中止に直面してきた。それでも「与えられた時間を成長のために使ってきた」と自宅でのトレーニングを怠らなかった。「自分の宣誓から開幕した大会。甲子園という夢に向かって14日の初戦までしっかり練習したい」と杉山。今度は強打の1番打者としてチームの先頭に立つ。