【新型コロナ】日本の医療データから重症化リスク分析 糖尿病はリスク3.4倍

 日本の医療データを解析する会社が、新型コロナを要因とする入院患者の服薬データなどを解析し、重症化リスクの高い要素を発表した。肥満、喫煙、糖尿病、高血圧の4つが重症化リスクを高めるとされ、中でも糖尿病に関しては3.4倍と際立っている。

ICUに入った入院患者のデータを人工知能で解析

 解析結果を発表したのは、レセプト(医療機関が保険組合などに請求する診療報酬請求書)など日本の医療ビッグデータの解析サービスを行うJMDC(東京都)。5億4,000万件以上のレセプトデータと2,600万件以上の健診データ(2020年3月時点)の分析に基づく、保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析等のサービスを展開している。今回、コロナ禍における社会貢献の一環として、社内のチームで重症化リスクファクターを分析した。

 解析対象となったのは、2021年2月末までに新型コロナを理由とした入院患者 7,373 名。このうちICUに入室したのは185名で、これを重症化と定義したうえで体重や年齢、既往歴(投薬歴から判断)といった項目のうち、どれが最も影響しているかを機械学習モデルを用いて解析した。その結果、以下の4つが重症化リスクに関わってくることが判明した。

  • **肥満|重症化リスク1.8倍
    **定義はBMI25以上。対照群はBMI18.5~24.9。
  • **喫煙|重症化リスク1.6倍
    **定義は喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)400以上。対照群は喫煙指数0~399。
  • **糖尿病|重症化リスク3.4倍
    **定義は糖尿病治療薬の服薬者。対照群は非服薬者。
  • **高血圧|重症化リスク1.6倍
    **定義は高血圧治療薬の服薬者。対照群は非服薬者。

(注:今回用いた入院患者データの8割が初診であったために、既往歴は入院中の投薬歴から推察可能な既往歴のみを対象としている)

 こうしたリスクファクターの分析は海外の研究ではすでに行われているが、日本の患者データで行われた統合的な事例は極めて少なく意義深いと言える。

 基礎疾患を持つ人に対しては、各自治体が優先的にワクチン接種できるよう措置しているが、細かい点を見ると、優先される肥満の定義(多くはBMI 30以上)に対し、今回提示された解析結果ではリスク増加がBMI25以上であることなど注目される点もある。また、喫煙や高血圧に関しては通院していない人も一定数見込まれるので、自己のリスク管理として参考になるだろう。

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