ゆとりフリーターの「ぬるい哲学」みんな違って、みんな草
「みんな違って、みんないい」の精神で育てられ、
経験至上主義な大人、自由すぎる価値観を持った年下、
年が近いはずなのに分かり合えない同年代に囲まれても
「ふっ(笑)」とあしらうだけのぬるい地獄に浸ってます。
そんな環境でも日々を生き抜くため模索中の
「ゆとりフリーター」が綴る、ぬるい哲学と
想像以上にしんどい!人間図鑑
どうも、現在レンタルビデオ店でアルバイトをしている26才ゆとりフリーターです。
突然ですが皆さんは「職場の人が話しかけているのか独り言なのか分かりにくい微妙な音量で発せられるボヤき」が聞こえてきた時、どうしてますか?
『自分も作業中だし聞こえないフリをして無視』
『余裕があるから「どうしました?」と反応してみる』
など、自分の置かれている状況や相手に対する好感度によってもどう対応するかは変わるんじゃないかなぁと思います。
いざ、拾ったら拾ったで「あぁごめん独り言だから気にしないでー」のパターンもあれば「そうそうこれがさぁ…」と話が続いたりと、曖昧ボヤきに反応した時の分岐は様々です。
例えば、私が働いているレンタルビデオ店では、タイムカードや業務の引継ぎなど様々な仕事をパソコン操作で行うことがあります。
すると、良く目にする光景の一つが、機械オンチなパートさんがデスクトップにかじりつくように見ている姿です。
そして曖昧な独り言「ええっ何これ?!ぶつぶつ…」
こういった場合、一体どうしているかというと
100%拾うようにしています。
隣にいようと2〜3m離れていようと、
誰かの曖昧ボヤきが発動されると私は拾わずにはいられなくなってしまうのです。
もちろん私も目の前のディスクの傷をチェックしたり売り場にDVDを戻しに行ったりしなくてはなりません。いつだってやる仕事はあるのです。
にも関わらず、つい返事をしてしまうんです!私のバカ!
はい。ということで今回は「曖昧なボヤキをつい拾ってしまうのはなぜか。」についてぬるく哲学していきます。
恐るべし! ボヤきインフルエンサー
今回は私のバイト先で最も曖昧ボヤきを使いこなす50代のパートさん(属性:機械オンチ)をベースに哲学をしていきます。
そのパートさんはいわゆる古株でベテランのリーダー的存在。
天気の話から料理の話、人気ドラマの話など毎朝の情報番組みたいな話題をこよなく愛する、どの職場にも一人はいそうな雰囲気の人物です。あと高頻度で、小袋に分かれたせんべいやチョコもくれます。
スタッフの面倒見も良いためとても慕われており、私もその一人です。
つまり誰も歯向かうはずの無い文句なしのムードメーカーなのです。
ーだからでしょうか。
資料①
それは私以外全員40代以上のパートさんで構成されていた時でした。
機械オンチのパートさんは例のごとく、パソコンの前に立ち曖昧ぼやきを頻発しました。
「んんっ?!」「これ…」「あれっ」「まーた店長…」ぶつぶつ
まーた何か言ってらぁと思いつつも、一番近くにいた私は手元の仕事を置いてすかさず駆け寄ります。
すると、わざわざ駆け寄るほどのことでもない店長の愚痴を聞かされます。
(あれっパソコンの操作でなんか苦戦してるんじゃなかったのね…)と内心思いつつ、愚痴は日常茶飯事なのでそこにもう過度なストレスを感じてはいないのですが、私が一番困惑したのはそのあとです。
「なになに」「どうしたの?」「ん?」
と、私に続いて次から次へと他のパートさんたちもそのパソコンの前に集まってきてしまったんです。
一人一人が時間差で来るのでいちいち説明するのも面倒くさいし、それよりもみんなさっきまでやってた仕事一旦止めてまでやってきてるし、えっ。すごい。なにこの時間!?
いやもちろん、職場の人間同士で程よいコミュニケーションがあるのはとても良いことだと思いますし、常に気を張りつめて仕事するのは息が詰まりそうになるのは分かります。
しかし私は「ハハハ」とやり過ごしながら心の中では「この状況お客さんが見たら、ただ談笑してるだけに見えるよね!? 私だけでも早く持ち場に戻りたい!」の一心なのでした。
(私も私で真面目すぎるのかしら…ね)
注意! ボヤきトラップ
“ボヤき招集号令”は複数人を巻き込んだものでしたが、こちらは1対1の時に起きた事です。
資料②
これは、どうにしかしないと自分が消耗されてしまう! と思った決定的な出来事でした。
その時もまた、
「あれっ…」と少し遠くからパソコンのキーボードを見つめるパートさんがいました。
いつものように駆け寄ると、どうやら数字のキーが反応しないようです。
「やだこれおかしい!何もしてないよ!」と誰も責めていないのにまるで濡れ衣を着せられたみたいなことを言っています。
**、これ、大体Numlockキーがかかってるだけなんですよね。**
スッ……と私がワンタッチで直すと「すごいさすがー!」と褒められます。
えへへ、じゃ……と去ろうとすると、そこで予想だにしない一言が。
**じゃあこれあなたの仕事ね!私やることあるから」**
ー戦慄しました。
私はこれを「曖昧ボヤきトラップ」と名付けました。
それでも拾ってしまうのは何故なのか
以上2つの資料をもとに最終的にこんな目に遭ってしまう事もあるのに「私がそれでも拾ってしまうのは何故なのか」をぬるっと提出します。
前提ですが、そもそもこの「曖昧ボヤき」
考えれば考えるほど、自分さえ良ければ別に無視してもそこまで問題はないと思うんですよね。
曖昧な距離感・音量で発せられているということは拾う拾わないのさじ加減はキャッチャー側に判断を委ねられているんじゃないかと。
そう思っているのに欠かさず100%拾ってしまっている現状。
その理由は「ぶっちゃけ面倒くさいけど拾ったら拾ったで私にも満たされる何かがあるから」だと気付きました。
「もし困っているのなら助けたい」という動機だけであれば正義感溢れる善行のようなものにも思えるのですが、私には、自分を犠牲にしてまでもわざわざ声をかけにいく理由として、また別の欲望があるんです。
それは、「無視する薄情な人間だと思われたくない」という恐れから。
「細かいところによく気が付く優秀な人だと思われたい」という承認欲、「人を世話することへの愛情→愛情という名の支配欲」から。など。
反対に、曖昧なボヤキを発する人の心理も考えてみました。
無意識。ストレスやSOSの表れ。自然にコミュニケーションを始めたいという照れ隠し。
声に出して確認すると落ち着いて作業ができる。返事をしてくれた前例がある。など。
*大袈裟にいえば、かるい共依存状態***も言えます。
もしかして事態は深刻なのでしょうか…!?
とはいえ、曖昧ボヤきを拾う側も、拾われる側もお互いに無意識で行動していることがほとんど。
そこで! “拾ってしまったあとの行動”で何か工夫できることはないかと思ったので、以下の対策を提案します。
曖昧ボヤきトラップ 対策案
それは、拾ってしまったら二人のプチ友情物語を作ろうです。
例えば資料②「曖昧ボヤきで仕事が増える」での出来事。
これまでは相手のボヤきに反応しすぐにパソコン操作を代わりにやってしまっていたんですが、すぐに「ちょっと貸してください」とキーボードを奪ってしまうことがこのような結果を招いているということに気がつきました。
代わりに操作することによって相手の学びの機会も奪ってしまっていたんです。
そしてさらに今回のパートさんのようなパソコン仕事擦りつけ系の方への対処法として大事なのが、例えNumlockキーのように分かりきった内容のことでも横から一緒に乗り越えた感じに演出することだと思ったんです。
そうすれば、たとえ野次馬が集まってきても「あ今二人でやってる(友情物語作り上げてる)とこなんで大丈夫です!」と断りを入れられるし、パートさんもパソコン操作覚えられるし万々歳!
**論 ボヤきにも「いいね」しちゃう。それがコミュニティ。**
以上、ゆとりフリーターでした!
文・イラスト/ ゆとりフリーター