人工衛星にエッジコンピューティングを搭載!開発めざし米スタートアップ企業が提携

【▲ 人工衛星を利用したエッジコンピューティング事業を興すLEOcloud(Credit: LEOcloud)】

衛星通信事業を展開する米国のスタートアップ企業「LEOcloud」は、スーパーコンピューターを手掛ける米国スタートアップ企業「Ramon.Space」と提携すると発表しました。両社は高度2,000km以下の地球低軌道(LEO)を周回する人工衛星を利用したエッジコンピューティングの開発を目指すとしています。

人工衛星からのデータをクラウドコンピューティングに送信できるサービスとしては、Leaf Spaceによる「Google Cloud」を利用した衛星用クラウドコンピューティングが知られています。Leaf Spaceのクラウドコンピューティングは地上局に設置されていますが、LEOcloudではLEO上の人工衛星にエッジコンピューティングを設置します。地球周回軌道上の人工衛星により近い場所にエッジコンピューティングを設置することで、通信による遅延時間(レイテンシー)を短くできるといいます。

【▲ 人工衛星を利用したエッジコンピューティングの概念図(Credit: Exodus Orbitals)】

2021年2月に創業したばかりのLEOcloudは、先述したLeaf Spaceや、人工衛星向けのソフトウェアを手掛けるExodus Orbitalsとすでに提携しています。LEOcloudのCEOであるDennis Gaten氏によると、当初の計画では地上局にエッジコンピューティングを設置する予定でしたが、衛星コンステレーションを利用したデータセンター「Space Edge LEO」を立ち上げる計画に変更したようです。

いっぽう、LEOcloudと提携するRamon.Spaceは5月に1,750万ドルを調達しており、出資者にはStageOne VenturesやDeep Insightといった複数のベンチャーキャピタルが名前を連ねています。Ramon.Spaceは米国やイスラエルでの運用を拡張し、宇宙空間で運用できるスーパーコンピューターを開発中です。

Image Credit: LEOcloud
Source: SPACENEWS, Via Satellite, Exodus Orbitals, Google Cloud
文/Misato Kadono

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