福山市本庄町中にある生姜専門店「ジンジャーダイヤモンド」。
黒い壁に大きなハートが目印の工房には、多くの生姜好きが足を運びます。
店頭には、工房で作られたジンジャーシロップの瓶がずらり。
「ジンジャーダイヤモンド」の生姜へのこだわりや魅力について紹介します。
生姜専門店「ジンジャーダイヤモンド」
「ジンジャーダイヤモンド」は、主にジンジャーシロップを販売している生姜専門店です。
もともとは、店主の中尾圭吾(なかお けいご)さんが自分のために作っていたジンジャーシロップ。
2021年で販売を始めてから11年目になるそうです。
最初は自宅を改装した工房からはじめたシロップ作り。現在の工房に移ってから2021年7月2日で3周年を迎えました。
たくさんの店舗が集まるマルシェやインターネットでの販売の他に、工房で直接販売も行なっています。
シロップ作りはすべて手作業で
ジンジャーダイヤモンドのシロップは、すべて手作業!
一つひとつ形の違う生姜は、人の手でていねいに汚れを落とし洗います。
洗った生姜を機械でスライス。
スライスした生姜を鍋に入れ、砂糖とともに煮詰めます。ジンジャーダイヤモンドでは「てんさい糖」を使用。
工房にある鍋のすべてに生姜がぎっしり入っていました。多いときには鍋30個分ほどの生姜を煮詰めているそう。
煮詰めた生姜をもとに、さまざまな商品が出来上がります。
工房には瓶に詰められたシロップがたくさん並んでいました。
こだわりの素材で作るジンジャーシロップ
ジンジャーダイヤモンドの主な商品であるジンジャーシロップを紹介しましょう。
基本のジンジャーシロップ
「ジンジャーシロップ琥珀(こはく)」は、販売を始めた当初から扱っているジンジャーダイヤモンドの基本シロップです。
湯や水、炭酸などで割って飲むのがおすすめですが、スパイシーなシナモンが効いているので牛乳や豆乳などで割るとチャイ風のドリンクとしても楽しめるのだとか。
生姜の香りはしっかりとしつつ、てんさい糖の優しい甘さとシナモンが効いた飲みやすいジンジャーシロップです。
「ジンジャーシロップ黄金(おうごん)」は生姜好きなお客さんの「もっと生姜が効いたものがほしい」という声から誕生したもの。
「琥珀」はスライスした生姜を煮詰めますが、「黄金」は生姜を皮ごとすりおろして使用。
琥珀よりも生姜の風味が強く、生姜の辛みをしっかり味わいたいかたにおすすめのジンジャーシロップです。
炭酸水で割ると、しっかりとした生姜の味が楽しめるジンジャエールになるそう。
ジンジャーシロップ琥珀
- 90ミリリットル 756円(税込)
- 200ミリリットル 1,469円(税込)
- 500ミリリットル 3,132円(税込)
ジンジャーシロップ黄金
- 90ミリリットル 864円(税込)
- 200ミリリットル 1,728円(税込)
- 500ミリリットル 3,780円(税込)
プレミアムなジンジャーシロップ
「ジンジャーシロップ珠玉(しゅぎょく)」は、基本の「琥珀」と「黄金」のブレンド。
生姜はしっかり効いているけれどそこまで辛さはなく、甘さは控えめ。作り方の違う2種類のいいところを合わせたジンジャーシロップです。
この「ジンジャーシロップ珠玉」は、2020年に福山市が主宰する「第6回福山ブランド」にも認定されています。
ジンジャーシロップ珠玉
- 200ミリリットル 2,160円(税込)
- 500ミリリットル 4,860円(税込)
その他に、「水無し」という絞り汁とてんさい糖のみのものや「唐辛子なし」なども。
工房には多くの生姜好きのお客さんが足を運んでいます。そんな生姜好きのかたに向けた、生姜が濃いものやシンプルなものという位置づけのシロップです。
セットの販売や、無料ラッピングもしてもらえますよ。
こだわりの素材を使用
ジンジャーダイヤモンドで使用している生姜は、時期によって福山市のはっとり生姜と高知県の生姜を使用。
いろいろな生姜を試してたどり着いた、まろやかな辛さでコクのある生姜だそうです。
砂糖はてんさい糖を使用。てんさい糖は「てんさい(甜菜)」という根菜類の根から煮だした糖分を抽出したもの。
優しい甘みとコクがあり、天然のミネラルを多く含んでいるといわれる砂糖です。
レモンは無農薬のもの。愛媛県岩城島産や瀬戸田、呉、岡山県笠岡市のものなどを使用しています。
直近のイベント参加は下記のとおり。今後の出店情報はホームページで確認できますよ。
2021年7月のイベント参加情報
【福岡】
日程:2021年7月14日(水)~7月27日(火)
場所:阪急博多店 ポップアップショップ『ホームクラフトドリンクフェス』
【鞆の軽トラ市】
日程:2021年7月25日(日)
時間:午前8時~午前11時
場所:沼名前(ぬなくま)神社参道(広島県福山市鞆町後地1225)
【岡山県倉敷市】※月に2~3日出店中
日程:2021年7月24日(土)、7月31日(土)
時間:午前9時~午後2時
場所:倉敷路地市庭
続いて、ジンジャーダイヤモンドの中尾圭吾(なかお けいご)さんにインタビューをしました。
ジンジャーダイヤモンドの中尾圭吾(なかお けいご)さんインタビュー
ジンジャーダイヤモンドの中尾圭吾(なかお けいご)さんにお話を聞きました。
こだわりのシロップができるまで
──オープンの経緯など教えてください。
中尾(敬称略)──
もともとは自分が体調を崩したことがきっかけでした。
生姜は体を温めるからいいよとか、根菜類を取るようにとか漢方の先生に言われて、たまたま生姜シロップに出会いました。
インターネットで調べて見よう見まねで作ってみたら、それが美味しくて。生姜シロップは美味しいなあというくらいだったんです。
その頃、仕事がままならなくなってどうしようかなってなったとき、自分用に作っていたこの生姜シロップをインターネットで販売すれば、自分一人くらいはなんとかなるんじゃないかと思いました。
体調を崩していたもんですから人にも会いたくなかったし、自宅でインターネット通販にチャレンジしようかなというのが最初です。
僕と同じような考えのかたが全国にはきっといるから、何とかなるだろうという感覚で始めました。
──最初はインターネット販売だけだったんですか?
中尾──
そうですね、最初は楽天市場からです。
オープンしたよと言ったら、家族や親せきが買ってくれて最初は月2万円くらい入ったけど、その次はなかなかで。まだ体調が全回復じゃなかったので、アルバイトもしながらボチボチやってました。
でも、その年の12月にお客さんからの「美味しかったです。からだがあったまります」というお返事メールがきたんです。
ああ、ちゃんと響いてると思って、うれしかったですねえ。
その人がヘビーユーザーさんになってくれました。青森の人だったんですけど、会いにまでいきましたよ。
たまたま秋田で友達の結婚式があり、ずっと買ってくださってのもあって、ちょっと経由してお会いしました。
最初は自宅を改装してはじめたんですが、今の工房に移転してからは2021年7月2日で3周年になりました。
──販売はマルシェが中心と聞きました。
中尾──
マルシェへの誘いがあったとき、もともとは人に会いたくなくて始めたものですからどうしようかと思ったんですけど、そうはいっていても商売にならないしと思って行ってみたら、そのマルシェでけっこう売れたんです。
そこからマルシェで販売するようになって、それから10年くらいマルシェを中心に販売しています。
東は東京まで、西は福岡・博多までかな。
とてもニッチな商品なので、地元だけでまわってやっていけるような類いのものではなく、広く知ってもらいたいというのもあり遠方へも出向いています。
pasión(パシオン)の山脇さんとはマルシェでつながったんです。
はじめてマルシェで一緒になったときにご挨拶したら、何か雰囲気も似てるし顔も似ていたりして(笑)それで友達になりました。
方向性とかやり方そのものは違うんですけど、やってることが似てるんですね。
彼からはいろいろな材料や素材のことを教えてもらったりしています。
美味しいにこだわることが地元の結びつきに
──使用している生姜について教えてください。
中尾──
生姜は、福山市駅家町のはっとり生姜を使っています。まろやかな辛さの生姜です。
それまではスーパーマーケットで仕入れてやってたんですけど、福山にも生姜を作っている梅田さんって人がいるよって教えてもらい、すぐに会いに行きました。
梅田さんがつくる生姜は「はっとり生姜」というんですが、使い始めて2~3年目くらいで、リピーターさんからの「美味しかった」という声が早く届くようになっていることに気づいたんです。
あらっ?これは今までと違うんじゃないかと思っていろいろと飲み比べてみました。
比べていると、なかには刺すようなとげのある辛みを感じる生姜もあるんですね。
でも梅田さんのはっとり生姜は、本当にまろやかでコクがある。
そこから、保存の仕方とか作り方とか何年もかけて生姜農家さんの話を聞いてきて、味や作り方の裏付けがついて納得しました。
この生姜の他に高知の四万十生姜も使っています。土地のロケーションが似ていて同じようなまろやかな辛さがある生姜です。
レモンは無農薬のレモン。
まるごと皮まで使うので、完熟でちょっとコクのある酸味が強くないものを使ってます。
皮の部分にあるペクチン、ジャムなんかをドロッとさせる成分でとろみやコクが演出できればと丸ごと使っています。
レモンは、愛媛県の岩城島産のものと、瀬戸田と呉。あと笠岡のものです。
──素材は地元のものが多いんですか?
中尾──
山脇さんがいろいろと紹介してくれて、地元の良いものを流通させたいという思いもあったので。
もちろん美味しいものという部分でこだわってるんですけど、それが地元にあったという感じですね。
こんなに美味しいものが身近ですぐに手に入る場所ってそうそうないと思うんです。都会の人から見たらものすごい羨ましい環境ではないかと思います。
地元に美味しいものがあるのが普通だから、地元の人はこれが普通だと思っていますよね。
中尾──
いまつながってる人たちが、これから10年経ったときにどうなっているか。
みんなそれぞれ目指しているものがあるから、発展してるはずなんです。
その頃にまた今度は10年前の話ができるのが楽しみだなぁと思っています。あの時ああだったねって言って笑いながら話ができるようにと思いながらやっています。
山脇さんと出会えたりですね、やってるうちにあちこちから声がかかったり、福山ブランドというのにも選んでいただいたこともありますし、マルシェに出ていることによって声をかけていただくこともあります。
最初の見よう見まねで始めた、一人で食べていければいいやと思ってた頃に比べると、もう全然超えているので、やっていて楽しいですよね。
肉体的にはしんどいこともあるけど、そこを超える楽しさはありますね。
やっていて楽しいから続けられる
──今後やってみたいものや計画などがありますか?
中尾──
そうですね。まだ生姜の可能性が他にもあるんじゃないかと思うので探したいっていうのが、一番の楽しみというか夢です。
もっと多くの人に知ってもらったり、海外も含めて輸出もやりたいし「クラフトシロップのジンジャーダイヤモンド」みたいな位置付けにしたいなとか。
最近は、マルベリーを使ったレモネードとか、クラフトソーダシリーズなんかも考えています。
あと、いまクラフトコーラもやってるんです。クラフトコーラ、クラクトジンジャー、あとレモンその辺りがあると、ドリンクのなかでも強力な3個ですよね。
本当に放っておくとちっちゃいので、動いてなかったらすぐなくなってしまう。なので、とにかくいろいろなことを動かしていくというところですね。
おわりに
「大変なんですよ」と言いながら、どこか楽しそうな中尾さんの笑顔が印象的でした。
作ったり考えたりすることを楽しんでいるようすは、当然こちらにも伝わってきます。それが商品の魅力にもつながっているのではないでしょうか。
定番のシロップはもちろん、今後の新しい商品にも目が離せませんね。
こだわりと魅力のつまったジンジャーシロップ、ぜひ試してみてください。