【空手】銅メダル・荒賀龍太郎は関係者も舌を巻く〝哲学〟の持ち主

組手競技で日本勢唯一のメダルを獲得した荒賀(右)

最後の砦となった。東京五輪・空手男子組手75キロ超級(7日、日本武道館)で、荒賀龍太郎(30=荒賀道場)が銅メダルを獲得した。今大会の組手は男女3階級ずつ計6階級で実施。5階級が終わった時点で日本のメダル数はゼロだったが、大トリのベテランがピンチを救った。

金言を最後まで守り抜いた。空手道場を運営する両親のもと、幼少期から空手一筋の生活を送ってきた。その際に、両親から送られた「逃げるな、攻め続けろ」との言葉を常に意識してきた。攻撃的姿勢を貫く中で磨き上げた速さを武器に、国内外の大会で好成績をマーク。空手関係者も「他の子にないような徹底した自分の哲学を持っている」と舌を巻くほどの〝荒賀スタイル〟を身に付けた。

練習も人一倍こなしてきた。常に全力でやるのが当たり前。同関係者は「稽古をしないと不安になるタイプ。休んだら弱くなることを知っている。放っておいたらいつまでも練習するからね。稽古をやり続けて、自分の納得することを徹底的に練習し、自信をつけていった」と絶賛。男子75キロ級の西村拳(チャンプ)も「練習に真摯に取り組む姿勢や空手道に対する姿勢は学ぶところばかり」目を細める。

大会前に「自分自身の空手を貫きたい」と決意を述べていた荒賀は、1次リーグから攻撃的な空手を披露。準決勝でタレグ・ハメディ(サウジアラビア)に敗れ「この大会の舞台に立てたことに感謝の気持ちでいっぱい。だからこそ、金メダルを取りたかった。それがかなわなくて悔しい」と大粒の涙を流したが、聖地に確かな爪痕を残した。

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