ライオンズの若き龍・綱島龍生選手の活動報告 〈19〉悔しさ胸に再出発

 7月中旬、腰椎椎間板症でチームを離脱し、現在はまだ3軍で練習を重ねている綱島龍生。楽しみにしていたフレッシュオールスターを辞退することになり、「(こんな時に)何やってんだ」と自分に腹が立った。「打撃練習中に腰をやってしまいました。フレッシュオールスターへの焦りの気持ちと、久しぶりの屋外での練習に〝飛ばしたい〟気持ちが出てしまいました」と当時のことを思い出し、唇をかんだ。

 その後の経過は良好だ。数週間ぶりにバットを握り、仲間と野球ができる喜びをあらためてかみ締めた綱島は、かごを白球でいっぱいにした個別の打撃練習も思い切り楽しむことができた。チームの打撃練習中には内野の守備に就き、「自分が思っていたより、前と変わりなく動けていたので安心しました」と、以前よりも力みがなくなったような感覚にうなずいた。

 腰が良くなるまでの間、源田壮亮の春季キャンプの守備練習動画をひたすら見ていたという綱島。「気持ちは源田さんになりきって守備に就いていました」と白い歯を見せた。

 7月30日にメットライフドームで行われた千葉ロッテマリーンズとのイースタン・リーグ公式戦、同点で迎えた最終回、二死の場面で綱島は代打で打席に立った。初球と2球目の直球に空を切るも、3球目を冷静に見送ってカウント1ボール2ストライク。4球目のフォークを仕留めると打球はセンターに抜け、復帰後初の安打が出た。ベンチに帰れば仲間から手荒い祝福を受け、思わず笑みがこぼれた。

 松井稼頭央2軍監督は「故障もあった中で本人が一番悔しかったと思います。前日(29日)にミスや打てないところもあって、きょうはどうかなというところで、代打でいきました」とその起用を明かした。「初球からしっかり振っていってくれましたし、ああいう結果につながったので本人もホッとしたのではと思います。(最終回で二死という)緊張感の中で復帰して一本が出たのでね。また次の試合につながっていくと思います。彼にはいろいろなポジションを守ってほしいですし、試合の途中からいってもらいたい時もあります。足もありますから、楽しみな選手の一人ですよ」と続けた。

 試合後、綱島は「楽しかったです! 代打でもチャンスがあれば〝絶対打ってやろう〟と相手投手の動画を見てしっかり準備してきました。ヒットにつながって良かったです」と打席を振り返った。

けがから復帰し、明るい表情の綱島(球団広報部撮影)

 ただ、ファームで打つヒット1本に一喜一憂はしていられない。「後半戦が始まっていますが、まずはしっかり試合復帰して、そこでアピールすること。そしてもう一度1軍昇格したいです」とまだ悔しい思いしか感じていない場所へ、自信をもって復帰する自らを思い描いた。

 「たまに実家から荷物が届くのですが、先日、小さい頃によく食べていたカップのゼリーが入っていました。これを食べて夏を乗り切りたいと思います」と笑顔を見せた綱島。地元・新潟からの激励も味方にして、厳しい夏を乗り越えた綱島はまた一つ大きくなるに違いない。(西武ライオンズ広報部)

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