コロナ苦境と思い重ね… 横浜で防疫中殉職の警察官を慰霊

西岡一等巡査の墓前で手を合わせる戸塚署員ら=横浜市戸塚区の宝蔵院

 明治時代に流行したコレラの防疫活動中に自らも感染して殉職した神奈川県警察(当時)の西岡駿吉一等巡査(享年28歳)の墓前祭が10日、横浜市戸塚区吉田町の宝蔵院で行われた。

 県警親会戸塚支部のメンバーや戸塚署員ら15人が参列。新型コロナウイルスの感染が拡大する現在の苦境と重ね合わせながら、職務を全うした故人の冥福を祈った。

 県警の殉職者に関する資料などによると、西岡一等巡査は現在の戸塚区内で勤務していた1879(明治12)年9月にコレラに感染し、亡くなった。当時の県内では2千人以上がコレラに感染し、約1500人が死亡。致死率は70%に達した。当時は警察が衛生業務にも従事し、消毒や遺体の搬送などに当たっていたという。

 罹患(りかん)者の移動は禁じられていたため、西岡一等巡査は故郷の福井県に戻ることがかなわず、宝蔵院に埋葬された。約20年前から同支部が墓前祭を催している。

 参列した署の江上彩音巡査(21)は「今と似た状況下で疫病に立ち向かった西岡一等巡査を見習い、毅然(きぜん)とした姿勢で職務を遂行したい」と話した。

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