【新型コロナ】都モニタリング会議「制御不能、自分の身は自分で守って」

 都内の新型コロナウイルスの感染状況、医療提供体制などを評価する都のモニタリング会議の定例会が12日開催された。出席した専門家は「爆発的な感染拡大が続き制御不能な状態」であり、現在の感染拡大が同程度継続するだけでも医療体制維持が困難で「救うべき命が救えなくなる」と訴えた。

「救うべき命が救えなくなる」

 会議ではまず、11日までの感染状況の報告が国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長からなされた。それによると、直近の週平均の感染者増加率こそ前週より低下し114%となったが、感染拡大は継続しており「制御不能」な状態と表現。「このままの状態が継続するだけでも、医療体制の維持が困難となる。救うべき命が救えなくなる。この危機感を共有する必要がある」と極めて厳しい口調で報告した。

「入院調整が困難、1日以上かかる事例が頻発」

 医療提供体制について報告した東京都医師会副会長の猪口正孝医師(全日本病院協会常任理事)は容体が急変した自宅療養患者の搬送が困難になるなど「救急搬送体制は深刻な機能不全を起こしている」と、自宅療養患者への対応も厳しい状態であることを明かした。また業務がひっ迫している保健所から調整を依頼される感染者の数が激増しているほか、依頼されても入院先を決めることができず、翌日に繰り越した事例が11日で570人生じていることを報告した。

「お盆期間に滞留人口を下げきることが極めて重要」

 感染拡大の指標のひとつとしている「夜間滞留人口」について、東京iCDCの西田淳志社会健康医学研究センター長は、先週より45%減少したと報告したものの、前回のGW期間中よりは高い数値で推移していると指摘。「新規感染者数を減少に転じさせるためには、もう一段下げることが必要」と述べ、「お盆期間に滞留人口を下げきることが極めて重要。今後の感染状況を左右する重要な分岐点」と、お盆期間の人流減少がキーポイントになると強調した。

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