シグナス補給船、打ち上げ成功 補給船は初のアジア系アメリカ人飛行士「エリソン・オニヅカ」と命名

米Northrop Grumman社は現地時間10日、補給船「シグナス」を打ち上げました。シグナス補給船16号機は、科学実験機器や生活物質など合計3700kg以上を積み込み、国際宇宙ステーション(ISS)へ向かいました。現地時間12日にISSのユニティーモジュールへのドッキングに成功。このミッションはNASAと同社に結ばれた商業輸送サービス(Commercial Resupply Service-2)の下で5回目となります。

【▲ アンタレス230+ロケットに搭載されて打ち上げられるシグナス補給船(Credit: NASA Wallops/Brian Bonsteel)】

シグナス補給船16号機は、アンタレス230+ロケットに搭載されて、アメリカ・ヴァージニア州のワロップス飛行施設にある中部大西洋地域宇宙基地から打ち上げられました。ISSへのドッキングは、現在滞在中のメーガン・マッカーサー氏がロボットアーム「カナダアーム2」を使用して実施。また、ドッキングのバックアップを、トマ・ぺスケ氏が行いました。そしてヒューストンにある管制局では若田光一飛行士がキャプコム(地上で宇宙飛行士との通信を担当する)として参加したということです。補給船はISSにドッキング後、3ヶ月程度係留されます。その後、分離されて別のミッションを遂行した後、大気圏に突入し燃え尽きる予定です。

【▲ シグナス補給船のキャプチャを担当するトマ・ぺスケ飛行士(左)とメーガン・マッカーサー飛行士(右)。トマ飛行士は東京オリンピック閉会式に宇宙から参加したことで有名になった。(Credit: NASA)】

搭載された荷物には科学機器や実験装置、第64・65次長期滞在の生活物資、船外活動で使用される物資などが含まれています。合計で3700kg以上ありますが、これはシグナス補給船にとってこれまでで最も多い物資量となります。実験器具の一部として、民間宇宙企業Redwireが3Dプリンタとレゴリスを使用した実験を行う器具を運びます。ここで得られた成果は今後の月や火星への長期ミッションに生かされます。また日本の実験サンプルも多数搭載されており、今後の研究成果が期待されます。

シグナス補給船には、ミッションごとに個人の名前がつけられます。今回は、初のアジア系アメリカ人の宇宙飛行士、エリソン・オニヅカ氏の名前が付けられました。エリソン氏は、日系3世です。スペースシャトル計画第1期の飛行士として選抜されたあと、1985年にSTS-51-C「ディスカバリー」号に搭乗し、ミッションスペシャリストとして活躍しました。その後、1986年にSTS-51-L「チャレンジャー」号に搭乗しましたが、爆発事故により殉職しました。エリソン氏の言葉は、アメリカのパスポートに記載されており、今でもレガシーを残しています。

【▲ エリソン・オニヅカ飛行士は、1986年に発生したスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故で殉職した(Credit: NASA)】

Image Credit:NASA Wallops/Brian Bonsteel
Source: NASA/ SpaceNews/ Northrop Grumman
文/出口隼詩

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