上越は今〈3〉今年の大雪~検証作業 集中豪雪が生活直撃 今後に備え検証進む 情報伝達の課題浮き彫り

 1月の記録的な集中豪雪は上越地域の交通網、市民生活に多大な影響を及ぼし、上越市高田地区では9年ぶりに一斉雪下ろしが行われた。「こうした大雪は、今後も起こり得る―」。市では現在、これからに備えて全庁的に検証作業を進めている。

 大雪は1月7日から11日にかけて激しく降り続き、上越市高田では72時間降雪量187センチを観測。同地区では23、24の両日、平成24年以来の一斉屋根雪下ろしに踏み切った。35町内、約3000世帯を対象に行い、下ろした屋根雪は27日までに排雪完了、通行規制は同日解除された。

高田地区では9年ぶりに一斉雪下ろしが行われた(1月23日)

 各自治体の有する除雪能力をはるかに超えた大雪は農業用施設にも大きな被害を与え、同23日には野上浩太郎農林水産大臣が現地視察に来越。県と上越3市などから、農業用施設再建に向けた支援などを求める要望書を受け取った。

 今回の大雪対応で課題が浮き彫りになったのは、市から市民への情報伝達。大雪関連の問い合わせ・苦情は8000件を超え、その約7割が「除雪車が来ない」「いつ除雪車が来るのか」といった除排雪関連のものだった。

 市議から大雪関連の質疑が集中した市議会3月定例会の一般質問で、村山秀幸市長は「より多くの人に情報を得ていただけるよう積極的に発信していたが、(市民が)どのような方法で情報が入手できるかについては、必ずしも周知が十分でなかった」との認識を示した。

10月下旬めどに最終報告

 市ではこのような大雪が今後もあり得るという認識の下、対応策を定めようと検証作業に着手。事務方トップの理事を中心に検証チームを編成、全庁的に取り組みを進めており、7月20日には中間報告を行った。

分野ごとの計12項目に整理した中間報告を発表する上越市の八木理事(左から2人目)ら(7月20日、市役所)

 中間報告では「道路除排雪」「公共交通」「企業活動」「ごみ収集」「要援護者・要配慮者」「保育園・学校等」「一斉雪下ろし」「停電被害」「農林水産業」「除雪中の事故」「情報発信」「災害対策本部」の計12項目に分けて各対応を振り返り、課題や今後の方向性を示した。併せて、市内の町内会長を対象に実施した大雪に関する調査結果(速報値)も明らかにした。

 今後は中間報告を基に関係機関などと検討を重ね、除雪計画の公表時期である10月下旬に、最終報告書として公表する考え。同市の八木智学理事は中間報告の記者説明で、「(町内会長への)アンケート調査をさせていただいたが、今度はヒアリングという形でもお聞きする。一方で国、県、除雪事業者との意見交換も含め、(中間報告で示した)方向性よりも具体的なところまで踏み込んだものを秋には出したい」とした。

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