平和への思い音色に 「被爆ピアノ」演奏会 7組8人奏でる 上越市

 原爆が投下された1945(昭和20)年8月6日、広島市内で焼けずに残った「被爆ピアノ」の巡回演奏会が22日、上越市下門前のワークパル上越で開かれた。新潟県生活協同組合連合会主催。県内では新潟、燕、三条に続き4カ所目。

7組8人がそれぞれ平和への思いを乗せて曲を奏でた

 被爆ピアノは、被爆2世で広島市でピアノ工房を営む矢川光則さん(69)が所有者から託されたもの。所有者の名を取って「カズコのピアノ」とも呼ばれる。爆心地から2・6キロ離れた住宅で被災したが、カバーが掛けられており損壊を免れたという。

 矢川さんは2005(平成17)年から被爆ピアノと共に国内外を巡り、平和への思いを伝えてきた。「広島、長崎で被爆した語り部はどんどん少なくなっている。これから被爆ピアノが果たす役割は大きくなっていく」と語る。

 演奏会には約60人が参加。7組8人がそれぞれ平和への思いを乗せて曲を奏でた。妙高市の高校3年、稲毛寿さんは、中学生の頃に広島市の平和記念式典に参列した。演奏を終えて「被爆ピアノが被爆者の思いや平和を訴えるものであると思うと、感慨深かった」と話した。

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