尾身会長、バッハ会長再来日を痛烈批判「なぜわざわざ来るのか」

 25日午前、衆議院厚生労働委員会で閉会中審査が行われた。参考人として出席した政府新型コロナ対策本部分科会の尾身茂会長は、コロナ禍で政府が出すべきメッセージについて問われた中で、先ごろ再来日したIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長について「なぜわざわざ来るのか。一度来ているしオンラインではだめなのか」という趣旨の発言を行い、間違ったメッセージを発しないよう関係者に求めた。

「常識があればできるはず」

2021年8月25日の衆議院厚生労働委員会(閉会中審査)で答弁する尾身会長。頭を指差しながら「常識あればできるはず」と強烈な批判を展開した

 尾身会長が「一般庶民として思う」と言葉を選びながら、率直な言葉でリーダーたちの矛盾する行動を批判した。25日午前、衆議院厚生労働委員会の閉会中審査に参考人として出席。立憲民主党の尾辻かな子議員(大阪2区)から、国民に自粛を求める政府関係者の行動に対しての見解を問われると、先日パラリンピック開催を機に再来日したIOCのバッハ会長の行動を指弾し始めた。

「(何も分からない不安が動機となった)昨年と違い、今はどういうメッセージを出すかが重要。例えばオリンピック開催が、人々の意識にどういう影響を及ぼすかということが重要だと何度も申し上げてきた」とし、先日再来日したバッハ会長の行動について言及。「なぜわざわざ来るのか。一度来ているし、銀座にも一度行っている(しもういいでしょう)。挨拶が必要だというならオンラインでもできる。常識があればできるはずだが、という(一般の)反応になるんじゃないか」と極めてストレートな言葉で批判を展開した。

 尾身会長はこのほか、現在の医療崩壊を招いた政府の感染状況に対する考えについて聞かれ「関係者の皆さん方とは毎日会っていて、土日もなく頑張っていることを賞賛する」としつつ「感染状況に対する見方については、若干楽観的なのではないか」と、専門家と政治家、政府との認識の溝があることを認めた。

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