秋篠宮殿下ご夫妻、眞子様への進言|八幡和郎 突如、眞子様、小室圭氏年内ご結婚の情報が。小室圭氏問題をいち早く批評してきた筆者。月刊『Hanada』2021年9月号の寄稿に、新たな序文を加え、再録!

秋篠宮家の長女眞子様と小室圭氏が年内に結婚されると報道されている。小室氏がNY州弁護士試験を合格することを前提に、アメリカでの新生活を念頭に置いているようだ。

また、秋篠宮殿下は、「多くの人が納得し、喜んでくれる状況にならなければ婚約の儀式は行えない」との考えを示されてきたが、「必ずしも多くの国民が祝福する状況になっていない」ので、「コロナ禍の現状も踏まえ、一般の結納にあたる納采の儀や結婚式などの関連儀式は行わない」「一億数千万円の一時金は、受け取らない意向」と伝えられている。

「月刊Hanada」で私は、2018年4月号で「眞子様『結婚延期』の真実」という記事を書いたが、これは総合雑誌において最初にこの問題を扱った記事だった。その後も何度か書いているが、2021年9月号ではこの記事を掲載した。

今回の結婚は止められないのでさせるが、正式な儀式は行わないし、皇室としてはある意味で縁を切るというという解決は、そこで選択肢として上げた可能性のひとつで、本人にとっても皇室にとっても、多くの困難が予想される結婚ではあるが、憲法で両性の合意による結婚が原則とされている趣旨に従えば、阻止することは難しいので、それなりに筋を通したものとして、歓迎はしないが評価したいと思う。願わくば、妙な妥協はしないで欲しいと思う。

批判の矛先が眞子様へ

秋篠宮ご夫妻の長女、眞子様と小室圭氏の婚約騒動でのお二人の気持ちと行動は、しばしば論じられている。以前は、もっぱら小室圭氏に批判が集中していたが、このごろは眞子様へ批判の矛先は向かっている。

一方、秋篠宮殿下・妃殿下についてはあまり論じられていない。しかし、この問題を混迷させているのが、皇族方とそれを補佐すべき宮内庁のスタッフがこのような問題について世知に長けていなかったことだという視点も必要なのでないか。

国民からも、ご両親である両殿下などにこうしたらともっとアドバイスするべきでないかと思う。そこで、あえて口火を切るつもりで畏れ多いが、「秋篠宮殿下ご夫妻は、親としてこうされては」という提案をしてみようと思う。

ただ、本誌の読者には眞子様までが公然と批判の標的になっているのをご存じない方もおられると思う。なぜなら、週刊誌やSNSでは炎上中だが、テレビや一般紙では遠回しの表現に留まっているからだ。

眞子様に対する批判が表面化したのは、小室圭氏がお粗末な弁解文書を出したあと、宮内庁が「文書を読まれていろいろな経緯があったことを理解してくださる方がいらっしゃればありがたい」との眞子さまのコメントを明らかにしたからである。

しかも、秋篠宮家の官房長官ともいえる加地隆治皇嗣職大夫が定例記者会見で、文書は眞子さまと小室さん側が相談したうえで公表されたこと、母親と元婚約者の金銭トラブルに際し、話し合いをせずに金を渡して解決する選択を取らない方針が記されていることについて、この方針は「(眞子さまの)意向が大きかったと聞いている」と述べたのである。

こういう説明をすること自体、両殿下や眞子様の希望に基づいたものであろうし、解決金を払うという方針転換についても、眞子様が承知されていないとは考えにくい。

もともと小室氏に批判が集中したのは、眞子様自身を批判しにくいとか、眞子様の好感度が高く世間知らずのお姫様のイメージが強く、小室氏が瞞したのに相違ないという思い込みがあるからでもある。

しかし、私は29歳の成年女性である眞子様にかえって失礼だといってきた。小室圭氏がいささか厄介なタイプの人物であることはたしかだ。しかし、逆玉を狙うことは、爽やかではないが、許されない行為ではない。

もともと、逆玉志向だったらしい小室圭氏が、思いもかけぬ大魚に巡り合って、必死に眞子様の心をつかむ努力をしても悪いこととはいえない。あるいは、熱心だったのは眞子様のほうだったかもしれないし、両殿下もそれほどネガティブだったわけでもない。逆に眞子様は、内親王としていささか無責任に過ぎる。プリンセスに生まれたがゆえの責任をまったく否定したら、君主制度は成り立たない。

ところが、批判が小室母子にばかりに行くので、心優しい眞子様が「気の毒だ。小室さんだけでなく、お母様までひどくいわれるのも全て私のせいだ」と考えられておられるようだ。その意味でも、眞子様にも心温かくも厳しい諫言をするべきだ。

また、秋篠宮殿下ご夫妻にも進言をしたいと思う。もちろん、ひとつの案であるから、いろんな人があとに続いてくれたらいいと思う。また、殿下への提案への書式など見当もつかないので、「提言の内容」ということにさせていただく。

小室氏がとるべき行動

私は皇室にとっても眞子様にとっても、この結婚が好ましくない結果となることを危惧し賛成できないが、眞子様が「どうしても」とおっしゃるなら、日本国憲法の婚姻の自由の趣旨に鑑みて最後は仕方ないことだと思う。そこで、「私ならこう考える」という策を、僭越ながら提案させていただく。

国民の理解も得られないまま、見切り発車で結婚というなら「納采の儀」などは行わず、一億数千万円の一時金も受け取らせないようにしたほうがいい。

自発的に受け取らないとか減額するとかいうと、「制度が危うくなる」という人がいるが逆であろう。そこから結婚相手の借金を返済したり、生活力のない相手との生活費に使えば、品位を保つためという一時金の趣旨に反するので制度を危うくする。

また、後日、本当に眞子様が困られたとき、何らかの配慮をするためにも一時金を受けとって使い果たしてしまうようなことは絶対に避けるべきである。逆に、受け取られるとすると短期間で使ってしまわない歯止めが必要だ。

一時金は、セキュリティ確保のための費用の前払いだという人もいるが、この二人が結婚したら必要な警備はこんな額では無理だ。いまもそうだが、小室佳代さんも含めて警察でするしかないので理由にならない。

そして、そういう結婚を強行するなら、眞子さまも、小室さんも(もちろん母親も)、皇室関係の行事への参加を排除し、両殿下が眞子様と会われるにしても、(少なくとも当面は)御所でなくホテルやレストランなどだけで会われればいいと思う。

一方、国民の理解が得られるまでは結婚しないということであれば、小室氏は次のように行動することが必要だと小室氏に助言されたらよい。

①母親である佳代さんの元婚約者に対しては、法的に返還義務がなくとも、圭氏自身もお世話になったことを感謝するなど礼儀正しい対応をし、解決金の支払いなどについて誠意を持って話し合うべきだ。

②報道されている他の多くの疑念についても説明し、適切に処理することを求める。そのなかで、小室さんが米留学の奨学金を「内親王の婚約者」ということを願書に書くなど利用して獲得したとすれば皇室を利用したことになり、返却すべきだ。

三人連続自殺の説明を

結婚するには生活基盤の確立が必要だが、二つの選択肢を示されるべきである。

①小室さんが米国の弁護士資格を取っただけではさほどの収入を安定的に得るのは困難で、米国で弁護士として実績を相当に積むとか、日本の弁護士資格もあわせて取るとかしなければならないが、それには数年間かかるとみられ、基盤が確立する前の結婚は不適切である。眞子様の二十九歳という年齢は、現代において、数年間、待ってもおかしくないものでもあり、近いうちの結婚はあり得ないと殿下は仰るべきだ。

②もう一つの選択は、現在の小室さんの身の丈にあった仕事に就くことである。黒田清子さんの夫のように堅実な就職をしたのち、さらに、その収入の範囲で慎ましやかな生活を送ることを約束させるべきである。

小室さん母子がこれまで不規則な収入を得たり借金を繰り返しているのは収入に見合わない生活や学業をしているのが原因だから、これが不可欠だ。

こうしたことを実行しても、国民の理解を得られるかどうかは分からないが、ほかに道があるとは思えないとおっしゃるべきだ。

そして、殿下ご夫妻にお勧めしたいのは、法律家として有能なだけでなく、世知に長けた弁護士を雇われることである。ご夫妻が的確なアドバイスを受けられるだけでなく、一連の問題や疑念について徹底的に調査し、小室さん母子とも話し合い、眞子様の気持ちをほぐしてもらうにも有効であろう。

こみいった問題を解決するためには、宮内庁の役人とかジャーナリスト、友人ではなく、民事についての交渉のプロが必要である。皇室には宮内庁参与として寺田逸郎元最高裁長官がいて弁護士などに相談しているのだろうが、生々しい案件を扱うのに向いているとは思えない。

「報道されている他の多くの疑念も真実を明らかにし、適切に処理しなければならない」とは、佳代さんの元婚約者への「借金」だけでなく、国立音楽大学附属小学校の奨学金未返済疑惑、遺族年金の不正取得疑惑、本人のいじめ疑惑、父親と祖父母の連続自殺の経緯とその過程での元暴力団関係者の介入要請などを含む。

3人連続自殺は、普通に考えて、事件性がなくてもよほどのことがあったのではないかと誰しもが思うし、縁組みするときに疑念を持たれたままではすまないもので、小室家側から積極的に説明したほうがいい事柄である。

もちろん、これら疑惑のすべてが事実無根と判明しなければダメだということではない。人生のうちで過ちはあり、その悪質さが許される範囲のものか、必要があれば返済したり、謝罪したりして国民の理解が得られることもある。

逆に、眞子様と小室氏が話し合って、この結婚は無理だという結論に達せられたら、小室氏の名誉回復や、これからの人生設計の相談と無理のない範囲の支援を両殿下はされたほうがよいと思う。

皇位継承問題への影響

さて、眞子様と小室氏の騒動に隠れた感があるが、「安定的な皇位継承を議論する有識者会議」(座長・清家篤元慶應義塾長)の専門家等ヒアリングが終了し、政府に対する報告をまとめる見通しである。それを受け、政府は国会に検討結果を報告するが、総選挙への影響を考慮し、選挙後に先送りするといわれる。

眞子様の問題もこの検討に大きな影響を及ぼしたようで、ヒアリングでも、①女性天皇には賛成がやや多かった。②女系天皇には慎重論が多く、③女性宮家には賛否相半。④旧宮家の復帰には概ね賛成だった。

女帝や女系による皇位継承を認めるといっても、悠仁様を廃嫡して愛子様を女帝にというのは一般世論においても少数意見だろうし、皇室や政府の周辺ではほとんど支持者がいないのではないか。

世論調査では、女帝のみならず女系天皇にも肯定意見が多いというが、女系天皇の意味も分からずに答えている人も多いし、悠仁様を廃嫡して愛子様を天皇にという設問のアンケートはこれまでされていない。

愛子様は将来、天皇になるべく帝王教育をされているわけでなく、むしろ、ご両親である両陛下は伸び伸びと自由に育てたいという教育方針をとられてきた。一方、悠仁様は幼い時から将来の天皇として英才教育を受けてこられ、紀子様の教育ママぶりも成功しているように見受けられる。

もちろん、思春期もあるから、平穏無事に模範的なプリンスであり続けることを期待するのは無理な話であるが、まずは順調な成長ぶりであるのに、悠仁様に皇位継承問題で不安を与えるようなことは避けるべきであろう。

ともかく小室圭氏の登場で、野心家が内親王を誘惑して皇室に近づこうとすれば面倒だと男系派が指摘していた危惧が現実となり、そんな男性など現れるはずがないと強弁していた女系派の主張は砕け散った。

また、見逃されがちなのだが、女系派の主張の致命的欠陥は、実質的にはたった4人しかいない上皇陛下の孫のほかは、将来にあっても皇位継承を認めないと主張しているらしいことだ(共産党の志位委員長が、旧宮家の復帰は憲法上問題があるといっているのは巧妙な天皇制廃止の陰謀だ)。

しかし、従兄弟(従姉妹)四人の子孫が何世代かで絶える確率は低くない。皇室では歴史的に近親婚が多かったからか、出生率が低くなっているだけになおさらだ。

そうだとすると、仮に何世代かあとに上皇陛下の血統が絶えたら、皇室は店仕舞いなのだろうか。そのときになって旧宮家の子孫からというのは、臣籍降下のときに皇族であった方の本人すらご存命である現時点とは比較にならない困難さがある。

さらに、特定の君主の子孫に継承を限定するのは、それがオランダのように初代の君主であるか、中興の祖だとか、あるいはよほどの事情がない限りおかしい。

英国では宗教戦争のあと、カトリック排除のためにハノーバー選帝侯妃ゾフィー(スコットランドのメアリー女王の曾孫)の子孫でプロテスタントに限っているのが一例だ。もし皇室の歴史のなかで区切りをつけるとすれば、明治天皇か、南北朝や戦国の混乱期が終わったあとの後陽成天皇あたりしかないのではないか。

ちなみに、女系でもう少し遡らせるなら、昭和天皇の女系子孫である東久邇宮家や島津家、大正天皇の女性子孫である三笠宮家や、そこから派生した近衛家、裏千家、高円宮家から派生した守谷家など、明治天皇の女性子孫なら北白川、朝香、竹田、東久邇家とその子孫だが、そんなことをするなら、旧宮家のうち明治天皇の皇女が降嫁した四家を皇族に復帰させたほうが率直だ。

平成年間の議論で、両陛下への国民の敬慕の念は深いのでその子孫を優先すべきとかといった政治家がいたが、その時々の陛下に特別の意味を持たせるのは古今東西の例を見ても混乱のもとであるし、まして、いかに美智子皇后(当時)が傑出した方であったとしても、皇后の血統を考慮するのは賛同しかねる。

皇位継承予備軍の登録を

歴史的に見ると、ロシア(ノブゴロドのリューリクの系統が切れたのちのロマノフ家)やスペイン(レコンキスタを始めたアストリア公ペラヨの娘婿の弟であるヘルムートの子孫)では、建国者たる王家の断絶を受けて皇后の兄弟の子孫が王家となっているが、男系男子の子孫がいるのに皇后の血統でもあるまい。

ただし、私は保守派の多くの論者と違って、女系はどんな場合でも排除するとまではいいたくない。というのは、男系男子といっても旧宮家関係者ではこれから結婚するといった世代には10名くらいしかおられないから、永続を保証できない。

さらに、戦前に臣籍降下した「賜姓華族」とか、江戸時代に親王が公家の養子になった「皇別摂家」まで含めても数十人くらいしかいないようで、永続性を保証できる数とは言えない。英国では5000人ほどの継承権利者が登録されている。

私は、それも考えれば女系も完全に排除する必要はないと思う。むしろ、まずやるべきは、たとえば後陽成天皇以降の男系男子、明治天皇以降の女系も含めた子孫を皇位継承予備軍として皇統譜付表のような形で登録することだと思う。

一方、公務については、皇族の身分があろうがなかろうが、宮内庁参与のような形で、旧宮家の男子や元皇族の女性など広い範囲の方々に手伝ってもらえばいい。海外ではそういう場合に、元プリンスやプリンセスを名乗っても不自然でない。

皇室との繋がりをもつ予備軍をつくっていけば、おのずと旧宮家のなかから候補者も出てくるし、男系男子と内親王、女王の縁組みも成立するかもしれない(過度に期待しないほうがいい。近親結婚には慎重であるべきだ)。

いずれにせよ、悠仁親王が上皇陛下が退位された八十五歳になられるのは2091年である。私が思うに、悠仁様が成人される前後から、悠仁様と同世代の方を何人かどこかの宮家の猶子とし(養子でないので断絶した宮家でも構わない)、その人たちの子供の世代で何人か生まれながらの皇族として皇位継承候補が現れればいいことで、旧宮家復活にせよ女性宮家にせよ、もう少し時間をかけて良いのではないか。

また、万が一、不運が重なって急に男子の皇族がいなくなれば、現在、3人ずつの内親王と女王が皇室にはおられるのであるから、その方々がすべて結婚されるのでなければ、女帝ないし摂政になってもらうことに誰も異議はなかろう。

ただ、そのあたりを憲法は想定していないので、天皇空位のときにどのようにして皇位継承者を決めたり摂政に代行していただくかは、憲法改正の際に緊急事態条項の一環でもいいから手当てしておいたほうがよいと思う。

宮内庁長官の迷走

眞子様の問題で、宮内庁長官は「(小室文書は)丁寧で理解できた」と発言した。眞子様の味方が誰もいないのでは気の毒ということだろうが、国民の違和感は大きかったし、コロナと東京五輪の問題でも不可解な発言が飛び出した。

「(陛下が)東京五輪開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している」という6月24日の記者会見での発言である。

一般論として、さまざまな問題について君主が自分の意見を持つのは自由だし、英国では女王はそれを首相に自由に伝えたり議論したりできる。ただ、それを女王の意見として世間に出すのはタブーである。

とくに、選挙の前に争点となっている問題について意見を漏らすなど論外で、あの発言が東京都議会議員選挙の前にされたのは憲法上も不適切だったし、これが英国なら君主制の是非にまで及びかねない脱線だ。

それから、コロナ・ワクチン接種を陛下がされる問題でも対応に疑問符がつく。陛下は第一回の接種を7月6日にされたという。海外から来るVIPたちと皇室外交を繰り広げる立場だから、コロナをうつされる可能性も大きいし、いったん感染すれば感染させる側にもなりかねない。こうしたワクチン接種を確実にするのは、宮内庁の責任だと思う。

おりしも、NHK大河ドラマ「青天を衝け」では、孝明天皇は疱瘡で亡くなったが、明治天皇は濃厚接触者だったにもかかわらず、外祖父の中山忠能が種痘をさせていたので無事だったことが描かれていた。幕末の朝廷の先進性と令和宮内庁の対応と比較して、もう少しなんとかならないかと思う。

(初出:月刊『Hanada』2021年9月号)

八幡和郎

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