〈朝鮮経済復興の方法論 4〉改革・開放とは異なるアプローチ 世界に類のない「自立自強」の発展モデル

朝鮮の経済革新は、自力自強の路線、すなわち自らの力で強くなり、内なるパワーの発揚によって国力を向上させたこれまでの実践的経験、過去の成功体験に基づいている。外国の資本と資源・技術の導入を前提とする「改革」「開放」とは根本的に異なる。

「過去回帰」のレッテル

朝鮮労働党第8回大会(2021.1)で示された国家経済発展5カ年計画の核心テーマは、これまでと同様に自力更生・自給自足だ。5カ年計画の目的も、朝鮮経済をいかなる外的影響にも揺らぐことなく円滑に運営される正常軌道に乗せることにあるとされている。

党大会以降、外国の評論家、分析家たちは、制裁とコロナ禍、自然災害のいわゆる「3重苦」に直面する朝鮮が、「過去の失敗した政策」に回帰したと恣意的に解釈し、「対外的環境の改善」がなされて「開放」を前提とする「改革」を行わない限り、経済は好転しないと断定的に述べている。

多くの場合、それらは特色ある朝鮮式社会主義の現実を見ないで、資本主義の観点を一方的に適用している。

例えば、金正恩時代になって積極的に進められた「社会主義企業責任管理制」は「工場・企業所・協同団体が生産手段の社会主義的所有に基づいて実際的な経営権を担い、企業活動を主体的、創造的に行い、党と国家に対する責務を遂行し、勤労者たちが生産と管理の主人としての責任と役割を果たすようにする企業管理方法」だとされている。

客観的条件よりも人間の地位と役割を重視、強調するチュチェ(主体)思想の原理を具現した社会主義企業管理方法だといえるだろう。

ところが、外部の評論家、分析家は、経営活動に関する企業の自律性、裁量権の拡大を「市場経済システムの導入」と結びつけて評価し、労働党大会で経済に対する国家の統一的指導、戦略的管理を強化する問題が取り上げられると「改革」を否定するものだと勝手に批判している。資本主義の論理を絶対視して復唱しているに過ぎず、社会主義に固有な原理と法則に対する観点、洞察が欠如している。

朝鮮は世界で唯一無二の「自力自強の社会主義経済強国」を目指している。(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

社会主義計画経済の国である朝鮮の現実において「社会主義企業責任管理制」の実効性を高められるかどうかは、国家の経済指導機関が制度の設計と運営、指導管理をどのように行うかにかかっている。

企業が経営活動を主体的、創発的に行うための条件を整えるのも国家経済指導機関の役割だ。

近年、内閣では千里馬製鋼連合企業所(南浦市)をはじめとする基幹工業部門の生産単位をモデルケースとして定め、「社会主義企業責任管理制」を現実に即して実施するための実証実験プロジェクトを行ってきた。この過程で培った経験を他の経済部門にも広く導入するための検討作業が党大会を機に活発に行われている。

他国にはない戦略的資源

外部の評論家、分析家が「成功事例」として挙げる「改革」「開放」の国々にはない貴重な戦略的資源が社会主義朝鮮にはある。おそらく金正恩総書記は、そのように考えている。

朝鮮式経済復興の担当者たちが重視するのは、数十年間にわたり培ってきた自立経済の基盤と核戦争抑止力の完成によって証明された科学技術力、あらゆる試練の中で自力更生を体現した人民の愛国心と創造力だ。彼らは、最短期間で経済を活性化させる自立発展の基盤と能力があるという確信に基づいて、今の経済革新を推し進めている。

朝鮮は、他の国であれば、崩壊を免れなかった長期の孤立圧殺策動を耐え抜いただけでなく、むしろより強大になって国際舞台で存在感を放つようになった。この国は、敵対勢力の圧迫攻勢を内なるパワーを強化する機会に反転させる戦略を不断に実行してきた。そして最悪の条件でも独自の生存、発展、飛躍を可能とする力を育んできた。

「苦難の行軍」と呼ばれた時代、国家が経済的試練に直面し、社会主義本来のシステムと秩序を維持することが困難な状況が生まれた時も、経済の各部門、各企業がそれぞれ生き抜こうと孤軍奮闘して自らの力を育んだ。幾多の困難を乗り越えながら、人々はより強くなった。

勿論、非正常な状況の中で選んだ方法は、今の視点で見ると過渡的であり臨時的な方法だが、今後、党第8回大会の決定が執行されていけば、試練を経て強くなった各部門、各企業が統一的・有機的連携の中で目的志向的に活動し、集団主義の威力を全面的に発揮することになる。

つまり、社会主義計画経済の要求に沿って、国家の統一的指導と管理の下で経済を動かすシステムが回復、強化されれば、国内の人的、物的資源を余すところなく動員し、経済発展のすべての要素と動力を以前よりも効果的に利用することができる。

朝鮮が誇る「一心団結」、リーダーを中心とする結束力は政治思想的な面では、すでに最高の境地で発揮されている。時代の発展とともに企業の数も増えて多種多様な経済活動が活発に行われるようになった今日、「一心団結」の国風が経済においても確立されるならば、朝鮮の発展は加速化する。

今後、党大会の決定が執行されていけば、試練を経て強くなった経済の各部門、各企業が統一的・有機的連携の中で目的志向的に活動し、集団主義の威力を発揮することになる。(写真は祥原セメント連合企業所)

前人未到の道を行く

朝鮮の経済革新は、社会主義の本来の姿を誇示しながら、それをすべての面においてアップグレードさせる意欲的な挑戦だ。

国家の統一的指導と管理の下にすべての企業が主体的に創発的に経営活動を行い、自力更生・自給自足の原則に沿って経済を活性化させ、人民に豊かで文化的な生活を保証する。外部では、先例がない経済復興方式に「不可能」のレッテルを張るが、それが前人未到の道であることを十分に知りつつも、朝鮮は信念を持って、唯一無二の「自立自強の社会主義経済強国」を目指し、前進している。

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