和牛の繁殖事業に参入 グリーンファーム清里 複合農業へ着々と

 清里区の農業会社、グリーンファーム清里が和牛の繁殖事業に参入する。生まれた子牛を出荷し、肥育農家に購入してもらうことで収入を得る。同社は主力の水稲以外に野菜、来年から本格化する醸造用ブドウの栽培も手掛けており、複合農業による収益拡大を目指す。

 28日、長岡市の市場で落札された生後10カ月の子牛2頭が到着した。同社はこの日のため、敷地内にビニールハウスで牛舎を建て、牛房を作り、飼料用に刈ったばかりのコシヒカリの稲わらを用意して出迎えた。2頭は牛房に入ると水を飲んだり、座り込んだりしてリラックスした様子だった。来春には種付けを行い、順調なら来秋に出産する見通し。同社では2頭以外に、すでに受胎した牛1頭を購入し、出産させる計画。

生後10カ月の2頭の子牛。体重は約300㌔だ

 保坂一八代表(62)は北海道の大学を卒業後、道内と地元・清里で10年余り酪農や和牛肥育に携わった。若手職員の賛成もあって繁殖事業に乗り出した。飼育指導や出荷は、頸城区の荻谷畜産が協力する。荻谷耕治社長は「市場に出荷され、肉用牛として自社で買い取ることができればうれしい。頑張って」と激励した。

水を飲む子牛をいとおしげに見詰める保坂代表。来秋には出産、母牛になる予定だ

 繁殖をはじめとする畜産業は、導入や飼養のコストが一定程度かかる上、収入は相場に左右されるため、難しいビジネスでもある。保坂代表は「とにかくコストをかけない方法を取っていく。飼料は稲作で出た稲わらやくず米、米ぬかなどを活用し内製化する。牛舎は自分たちで建てた。放牧は笹ケ峰(妙高市)以外にも地元の山を使う。畜産は動物相手。世話をしないで良い日はない。できるだけ勤務時間で世話ができる体制も必要だ」と話した。

© 株式会社上越タイムス社