【占星術研究家・芳垣宗久×サツキメイ】 占星術で読み解く、今“激動の時代”のテーマ(前編)

BOOKOUTでのインタビュー記事が好評だった占星術師・サツキメイさん。
そんなサツキさんと、サツキさんの先輩であり、占星術研究家の芳垣宗久(よしがきむねひさ)さんとの対談が実現! 前後編の特別短期連載としてお届けします。

2021年後半から、来年2022年にかけての運勢についてはもちろん、今、激動の時代を生きる私たちがどう生きていくべきか――心がフッとラクになるアドバイスをいただきました。

前編となる今回は、お二人の出会いのきっかけについて、さらに、今の時代を占星術的の視点から読み解いていただきました。

お二人の、出会いのきっかけは……?

――まずは、お二人の出会いについてお話いただけますか?

サツキメイさん(以下、サツキさん): 芳垣先生が2007年に出版された『愛の小惑星占星術』(説話社刊)という本があるのですが、その内容がとても素晴らしくて。そこで、一読者としてメールで感想をお送りしたのがきっかけです。その後、仕事の集まりなどで、直接お会いする機会にも恵まれました。

――なるほど、最初は一読者でいらしたんですね。実際にお会いして、先生の印象はいかがでしたか?

サツキさん:占星術界ではトップレベルの知識をお持ちですし、とても知的でスタイリッシュな方なので、最初のうちはすごく緊張していたんです。ただ、直接お話をすると、とても感じが良くて楽しい方で。そこから親しくさせて頂くようになりました。

芳垣宗久さん(以下、芳垣さん):ありがとうございます。今回こういう形でご一緒できて嬉しく思っています。

――芳垣さんは、四半世紀ほど占星術の第一線にいらっしゃるわけですが、そもそも占星術をはじめるきっかけは何だったのでしょう?

芳垣さん:中学生の頃からタロットや星占い、手相などにハマって友人を占ったりしていたのですが、転機となったのは、オーストラリアでの経験ですね。というのも、20代の頃に一つのチャレンジとしてオーストラリアに1年滞在したのですが、このとき、あろうことか所持金を8万円しか持っていかなかったので、文字通り、路頭に迷いそうになってしまったんです(笑)。
そこで、占いのスキルを活かして稼ごうと思い立ち、現地でタロット占いを始めたんです。それでうまくいって日本に帰って来られたので、これはもうプロを目指そうと。その後、どっぷりと占星術の世界に入って、数年後には完全にプロとして活動できるようになりました。

今、占星術的な時代のテーマとは?

――今、「風の時代」などと言われていますけれども、昨年の12月に水瓶座が土星に入り、コロナ禍があり……。この激動の時代について、お二人はどのようにお考えでいらっしゃいますか?

芳垣さん:占星術的に言いますと、木星と土星は20年に一度重なるんですが、これが2020年に水瓶座で起こったんです。この重なりが、時代の大きなフレームの変化を意味するのですが、20年のスパンということもあり、当然、国家の体制も個人のライフスタイルも大きく変わります。また、その移行期間というのは、もちろん様々なことが起こるわけです。今回は、この変化が水瓶座で起きた、ということにまず意味があるんですね。

――20年に一度! それは大きな変革期と捉えていいのでしょうか?

芳垣さん:はい。もちろん水瓶座土星・木星時期ではあるのですが、それよりも「20年に一度」という配置の影響が大きい。なので、水瓶座に対する理解をこの機会に深めておくというのは大変に有意義だと思います。
占星術では一般的に、「水瓶座の特徴」というと、エキセントリックだったり変わっていたり、あるいは天才などと言われるのですが、この解釈は少し違っているのでは? と、サツキさんとも話しておりまして。ちょっとデフォルメされすぎている気がするんです。

サツキさん:それはありますね。水瓶座って、変わっている・奇抜というよりは、とても理性があるという印象。つまり、「進歩的」というのが、私のイメージなんです。だからこそ、他者との違いを尊重し、適度な距離感を持って繋がるスタンスをキープする。「人は人、自分は自分」と割り切れる大人度があると感じています。

芳垣さん:そうなんです。「お互い個性的なんだから横並びで生きていこうよ」っていうところはあると思いますね。だからこそ、ときには孤立している人に見られることもありますよね。人間関係は大切にしても、和して同ぜず的なところがある。

(イメージ:写真AC)

――となると、「今だけ」ではなく、そうした水瓶座的なことが「2020年から約20年間の時代の大きな特徴・テーマ」ということでしょうか?

芳垣さん:そう言っていいと思います。「これからの20年間はどういうテーマですか?」とよく聞かれるのですが、本当は一言では難しいんですけれども、他人を許容することが一つの大きなテーマかもしれません。やはり自分も許容してほしいですし、周囲の人も自由がほしいですし、いろいろな人のライフスタイルも許容して、共生していかないと……というところが、一つのテーマになると思います。
いわゆる「多様性」についても、より具体的なアクションが増えていくと思います。個人同士の付き合い方も変化していくと思いますし、システムもそうです。政治とか行政のあり方なんかも、変わっていくのではないでしょうか?

サツキさん:わたしは数年前に、ジェンダーレスというワードが出てきたとき、とても水瓶座的だなと思って。古いシステムやルールに対する、カウンターのように感じたんです。それって、これまでの「男だから、女だからこうであるべき」から一歩先に進んで、「人」と「人」として個々の多様なあり方を尊重していこう、という動きですよね。それが、SNS上でバーっと拡散されたというのも、とても興味深く思いました。ただ、心配な点があるとしたら、デジタルツールを使える方と使えない方で、大きな格差が出てきていることですね。個人的には、ネットやSNSも、水瓶座的な空間だと考えているので……。

芳垣さん:確かに、水瓶座の大きな特徴の一つですよね。どういうふうに人と繋がり、コミュニケーションを取っていくか。デジタルは強力な“ツール”だと思うので、自分も積極的に利用した方がいいと考えています。

サツキさん:ただ、なかにはアナログからデジタルへの切り替えが苦手な方もいらっしゃると思うので、もし身近にそういう方がいたら、声をかけてあげて欲しいなと。あるいは、ご自身が切り替えに苦手意識がある場合は、自分から得意な人に相談してみてもいい。そうした何気ない「コミュニケーション」を意識することも大切になるのではと思います。

後編では、2021年後半から2022年の運勢についてお聞きしていきます。お楽しみに!

※後編は10月14日(木)公開予定です。

文/国実マヤコ
バナーアートワーク/浮須 恵(フライスタイド)

芳垣 宗久

占星術研究家。ホロスコープを人間の創造力を引き出す思考ツールとしてとらえ、古典から近代のテクニックまで幅広く研究。個人相談や原稿執筆のほか、セミナー・講演等も積極的に行っている。占星術スクール「ヘルメス学園」主催。
Twitter @astrohund
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サツキメイ

カウンターカルチャー世代の占い師。占術は西洋占星術とタロット。時代感覚に寄り添った解釈と、等身大で飾らない文体が特徴。主な仕事歴はSHISEIDO、anan本誌、auなど。個人ブログとTwitterから活動をスタートし、ネットでの人気が各種メディアからのオファーに繋がったという、現代的な経歴を持つ。現在は雑誌・ウェブ媒体での執筆を始め、占いコンテンツの企画・監修等も行っている。
Twitter @meidiamond
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