朝鮮国内の障害者、その暮らしぶりは? 技術を学び企業に就職、国家がサポート

朝鮮国内で障害がある人々はどのように暮らしているのか。

実は朝鮮では障害者支援への社会的関心が高い。国内メディアでも様々な活動が紹介され、障害者たちが出演する音楽公演などが特別番組としてテレビ放映されている。

近年、国家のサポートのもと、支援活動の領域が広がっている。職業教育もその一つだ。

朝鮮障害者保護連盟が運営する障害者職業技術学校を訪ね、教育の現状を取材した。

朝鮮では以前から、盲学校やろうあ学校での11年制義務教育(現在は12年制)の過程で障害者に対する職業訓練が行われていた。

朝鮮障害者保護連盟がより多様で高度な職業訓練を実施する目的で朝鮮障害者技能工学校を開校したのが2012年5月。19年に現在の朝鮮障害者職業技術学校に改称された。

開校当初は1年制だったが、現在は2年制で運営されている。聴覚、視覚、肢体不自由などの身体障害や知能障害など、さまざまな障害をもつ人々が通っており、希望すれば年齢に関係なく入学が可能だ。

学校で教える専門分野は、木工、コンピューター、手芸、被服、理髪、美容、マッサージ、食料加工、料理など多岐にわたる。

校内には各種実習室や講義室、教育設備が整えられている。学生らは自身が選択した分野の専門知識を講義と実技訓練を通じて習得する。

また、職業教育のほかに社会科などの講義も実施し、社会生活を送るうえで必要な教養や一般知識に関する教育にも力を入れている。

実習室で理髪・美容の技術訓練に励む学生たち(C)朝鮮新報

教員の案内を受け実習室をのぞくと、被服、裁縫、理髪・美容分野を学ぶ学生たちが熱心に実技訓練に励んでいた。

マネキンの髪を器用なハサミさばきで整えていたキム・ヒョンシムさん(2年、肢体不自由)は学校生活について「とても楽しいです」と笑顔を見せた。

一方、講義室では木工分野担当教員のソン・ガンスさんが工芸品制作に関する講義を行っていた。ソンさんは「学生たちはみな優秀だ。木工分野を学ぶ学生には聴覚障害を持った子が多いが、耳が聞こえない分、手先の感覚がとても優れていて、繊細な作業が必要とされる工芸品制作などに向いている」と評価した。

実習室で理髪・美容の技術訓練に励む学生たち(C)朝鮮新報

木工分野に関しては平壌市内に同校専用の実習施設がある。学生らがそこで制作した工芸品や家具などは実習所内や国内各地の土産店などで実際に商品として販売されているという。

「国内はもとより、外国からの観光客たちも作品の出来栄えに驚き、好評を得ている。学生らの工芸作品は朝鮮の障害者教育の優位性を内外に誇示するひとつの指標だ」(ソンさん)。

2年間の職業訓練を経た学生たちは卒業後、習得した技術を生かすことのできる職場に配属される。

国内には障害者専用の企業所も設けられているが、近年では障害者に対する職業教育や労働条件の質向上に伴い、一般の企業や工場などで働く卒業生も増えている。

朝鮮障害者保護連盟の職員リ・グァンさんは「障害者たちにも差別なく権利や教育を与え、社会主義制度の恩恵を享受させようというのが朝鮮の障害者保護政策のモットーだ」とし、「12年に職業技術学校が設立されて以降、障害者たちがより専門的で高度な技術を習得し豊かな労働生活を送れるようになった」と成果を強調した。

現在、朝鮮障害者職業技術学校をモデルケースに、国内の各道や市にも同様の職業教育専門学校を建設・運営する計画が進められている。

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