第一線で活躍する障害者学校の卒業生 職業教育を受けて開花した才能

朝鮮障害者職業技術学校は12年の開校以来、多くの有能な人材を輩出してきた。同校で専門的な職業教育を受けた2人の卒業生を紹介する。

 バイオリン制作で高い評価/キム・スンイルさん

 朝鮮障害者保護連盟傘下の朝鮮障害者芸術協会の職員として働くキム・スンイルさん(36)は生まれて間もなく聴力を失った。そんなキムさんが幼いころに親しんだのは舞踊をはじめとした芸術活動だった。楽器にも強く興味を示したが耳が聞こえないため演奏は困難。ならばせめて制作に携わりたいと楽器製作者の道を志した。 朝鮮障害者保護連盟傘下の朝鮮障害者芸術協会の職員として働くキム・スンイルさんは生まれて間もなく聴力を失った。そんなキムさんが幼いころに親しんだのは舞踊をはじめとした芸術活動だった。楽器にも強く興味を示したが耳が聞こえないため演奏は困難。ならばせめて制作に携わりたいと楽器製作者の道を志した。

朝鮮障害者職業技術学校に通い、工芸制作を専門的に学んだキムさんは同校卒業後、芸術協会に配属され本格的にバイオリン制作に着手した。保護連盟の責任部員であるリ・グァンさん(51)はキムさんを「先天的な芸術センス、手先の器用さを合わせ持っている」と評価する。

芸術協会が運営する楽器制作室でバイオリン作りに励むキムさん(C)朝鮮新報

キムさんの才能はすぐに開花した。バイオリン制作をはじめてから2年足らずで第9回平壌楽器展示会(17年)の「技術賞」を受賞。昨年の第10回展示会では「科学技術優秀賞」に輝いた。豊かな音色を奏でるキムさんのバイオリンは関係者の賞賛を受けた。

「自分が一生懸命作ったバイオリンを人が演奏している姿を見たときがうれしい」とやりがいについて話したキムさん。最近ではバイオリン以外にも民族楽器であるソヘグムの制作にも取り組んでいる。

キムさんは国内および国際障害者デーに際して行われる芸術協会主催の公演に出演するなど、舞踊手としても活躍している。32歳のときには舞台で共演した同じ障害を持つ女性と結婚。今年、父親になる予定だ。「新たな家族が待ち遠しい。今後も世界的な水準の素晴らしい楽器をたくさん制作して人々の期待に応えていきたい」。

 上質な家具を生産、設計/パク・ソンジンさん

 職業技術学校を卒業後、15年から朝鮮ろう・盲経済文化交流社のろう者建具製作所で働くパク・ソンジンさん(33)。主な仕事は机やいす、タンス、ベッドをはじめとしたさまざまな家具の制作だ。

パクさんは2歳のときに聴力を失った。初等学校に通ったころ、日曜大工が得意だった父の影響で家具の組み立てなどに興味をもち、ものづくりをする職業に就くことを夢見たという。

職業技術学校の学生時代には木工分野のほか、コンピューターに関する知識も意欲的に学んだ。制作所ではその知識を存分に生かし、設計や住宅家具のレイアウトなどの業務もこなすなど幅広く活躍している。「将来は健常者に引けを取らない技師として、国と人民のために自分の能力を捧げたい。今後は展示会などの場にも自分の制作した家具を出展できたら」と志も高い。

現在、製作所ではパクさんを含め7人の聴覚障害たちが働いている。製作所のコ・ソンナム副所長(39)いわく、パクさんらが作った家具は細部までムラがなく、上質だと各方面から好評を博し、注文が殺到しているという。「数年以内に交流社の敷地内に製品を展示・販売するスペースを設け、素晴らしい家具を市民らがより手軽に購入できるようにしたい」(コ副所長)。

 「自分の夢をかなえてくれた学校と朝鮮の障害者保護政策に感謝したい」-屈託のない笑顔を浮かべながらそう手話で示したパクさん。今日も人々のために惜しみなく汗を流している。

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