朝鮮が新型潜水艦発射弾道弾(SLBM)の試射を行った日、岸田首相は、国家安全保障会議(NSC)を開催した後、記者団に「『敵基地攻撃能力』の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう、改めて確認した」と述べた。
今は、衆議院選挙の期間中であり、「北朝鮮のミサイル脅威」を煽り、安保不安を助長しながら政権延命を図るのは執権与党の常套手法の一つであった。
4年前、安倍首相の「国難突破解散」で総選挙が実施された時もそうだった。敵対意識に基づく対朝鮮強硬論で与党支持を訴えた。
その手法を後任者も踏襲した。
国民の信任を失い、辞任した菅前首相はその日、選挙遊説で「北朝鮮がミサイルを発射した。」「安全・安心を守るのが政府の仕事。共産党は日米安保破棄、自衛隊は憲法違反だから解消するという。こういう人たちに日本を任せるわけにはいかない」と野党連合を非難した。
そして「絶対に当選させてください。そして、どうかできるだけ、多くの票で当選させてください」と聴衆に哀願したという。誇示する実績がなく、隣国への敵対心を得票数に換算するしかない候補者の姿は有権者の目にどう映るのか。
今回の総選挙の争点の一つは、安倍・菅路線に対する評価だという。
朝鮮は国防力強化の計画に沿ったミサイル開発・生産は自衛的行動であると主張している
「菅がおよそ10年間に先任者である安倍と組んで我々の自衛的な国家防衛力強化措置を誹謗中傷し、朝・日関係を最悪の対決局面へと追い込んだことは黙過できない」「日本の首相に誰がなろうが、先任者たちの朝鮮敵視政策を踏襲する政治家は相手にしない」-朝鮮外務省傘下の日本研究所のある研究員の指摘だ。
現在の岸田首相はどうだろうか。研究員の指摘が示唆している。確かなことは、「北朝鮮のミサイル発射」の政治利用は、首相が先任者たちの悪習を踏襲した証拠として取り上げられるということだ。