【イラストでたどる萩往還】 No.31「鯖山峠 郡境の碑」

▲文・イラスト=古谷眞之助

 かつての吉敷郡と佐波郡との境、そして現在の山口市と防府市との境に建つのが鯖山の郡境の碑である。峠からは三田尻(防府)の街並とその奥に広がる瀬戸内海が見渡せる。かつてここには関所や茶屋もあったという。

 郡境の碑の左側には、明治十八年に明治天皇が来山時にここで休憩されたことを示す明治天皇聖跡碑が建っている。まだ隧道は開通しておらず、馬での峠越えだった。その二年後に開通した佐波山隧道の設計者は、長州ファイブよりも先に訪欧した杉孫七郎の甥で山口市大内出身の植木平之充だった。また、工事を請け負ったのは、萩往還悴坂の鹿背隧道を開削した周防大島出身の福田亀吉で、彼はその後琵琶湖疎水工事にも携わっている。

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