10月19日公示、31日投開票の日程で行われている第49回衆議院議員総選挙(以下、今回の衆院選)には、全国で1051名の方が立候補されています(選挙ドットコム調べ)。
インターネットを使った選挙運動が解禁されて7年。様々なノウハウやデータが徐々に蓄積され、 ホームページやSNSの使い方も体系化され始めています。
今回、筆者を含む数名で「選挙期間における候補者ホームページ実態調査(衆院選2021版)」を実施しました。その概要と結果をご覧ください。
調査概要
この調査では、選挙期間中における候補者の個人ホームページの実態と傾向を導き出し、政治家のホームページの現状とあるべき姿を理解することを目的としています。
2021年の衆議院議員選挙候補者1051名のうち、小選挙区に立候補している857名を調査対象としました。比例代表区のみに立候補している194名は、個人名をアピールする重要性が比較的低いと考えられるため調査対象から外しました。
筆者の見解を元に11の調査項目を決定し各項目について目視で調査を行いました。各項目の調査理由は調査結果内をご参照ください。
調査期間は2021年10月19〜24日。一般に使用されているスマートフォンにて実施しました。
候補者全体の集計だけでなく政党別にも集計しました。本記事では、小選挙区に5名以上の候補を擁立している政党を小選挙区候補者数順に掲載し、5名未満の政党および無所属は「無・他」として掲載しています。
対象数は、項目1のみ全体857、自民277、立民214、共産105、維新93、NHK27、国民22、れいわ12、公明9、社民9、無・他89。
項目2〜11は項目1が「ある」の候補者のみを調査対象としたため全体693、自民273、立民207、共産36、維新78、NHK4、国民22、れいわ12、公明9、社民5、無・他47。
調査結果
1.公式ホームページが公開されているか?
■ある / ■ない
候補者本人公認で運営されていると見られる個人名義のホームページを「公式ホームページ」と定義した。
2.基礎的なSEO対策がされているか?
■よくされている / ■少しされている / ■ほぼされていない
Google検索結果ページにおいて、個人名と地域名が分かるtitleまたはdescriptionが反映されていれば「よくされている」、個人名と地域名が分かるもののGoogleが自動抽出したものと思われる場合は「少しされている」、それ以外は「ほぼされていない」とした。ただし出生地についての記述だと明らかに分かるものは地域名の定義から除外した。
項目1、2調査理由:政治家にとってホームページを作る目的はさまざまなものが考えられますが「個人名や地域名で検索された時に、自分の情報を正しく(そして印象良く)伝える」という点は外せません。個人の公式ホームページがあり、正しいSEO対策が行われていることがその第一歩です。
3.スマートフォンに対応しているか?
■している / ■一部デザイン崩れがある / ■していない
画像や文字が不自然にはみ出していたり切れていたりするものを「デザイン崩れ」と定義した。
項目3調査理由:インターネット利用者の多くがスマートフォンを使用しており(出典)、政治家のホームページもスマートフォンに対応すべきです。
4.ファーストビューに顔写真とフルネームがあるか?
■どちらもある / ■一部が切れている / ■どちらかまたは両方がない
トップページにアクセスした際に画面をスクロールせずに見える範囲を「ファーストビュー」と定義した。
項目4調査理由:ホームページはアクセスされた直後から離脱される可能性があります。最も認知されたい顔と名前はスクロールせずとも表示されるべきです。
5.デザインに統一感があるか?
■ある / ■1箇所のみ気になる / ■2箇所以上気になる
調査者が主観的に浮いていると感じる色、フォント、空白、配置などを計上した。
項目5調査理由:統一感のあるデザインは洗練された印象を与えます。政治家は好印象を持ってもらう必要性が高いためデザインの統一感も重視すべきです。
6.トップページにプロフィールが書かれているか?
■書かれている / ■書かれているが簡素 / ■書かれていない
生年・肩書き・実績などに加えて人柄や背景が伝わる記述がある場合は「書かれている」、生年・肩書き・実績などのみの場合は「書かれているが簡素」、それ以外を「書かれていない」とした。
7.トップページに政策が書かれているか?
■書かれている / ■書かれていないがリンクがある / ■書かれておらずリンクもない
トップページの分かりやすい箇所に「ここをタップすれば政策が読める」と分かるものがあることを「リンクがある」と定義した。
項目6、7調査理由:リンクをタップしてページ遷移する毎に離脱する閲覧者は増加します。プロフィールや政策などの重要な情報はトップページに掲載すべきです。
8.トップページにポスター写真以外の写真があるか?
■ある / ■あるが顔が不明瞭 / ■ない
埋め込まれているSNSのタイムライン内にある写真は除外した。
9.トップページにメッセージ動画があるか?
■埋め込まれている / ■埋め込まれてはいないがリンクがある / ■埋め込みもリンクもない
埋め込まれているSNSのタイムライン内にある動画は除外した。
項目8、9調査理由:文字情報とポスター写真以外にも写真や動画が掲載されていることで、想いや人柄に共感する人を増やすことができると考えられます。
10.ブログやSNSで最新情報が発信されているか?
■直近3ヶ月以内に発信されている / ■直近3ヶ月以前に発信されている / ■発信されていない
ブログやSNSがトップページに埋め込まれているもしくはリンクがあるものを「発信されている」と定義した。最終更新日が不明瞭なものは「直近3ヶ月以前に発信」とした。
11.問い合わせ窓口が公開されているか?
■問い合わせフォームがある / ■フォームはないがメールアドレスが公開されている / ■どちらもない
インターネット以外での窓口(住所、電話番号など)および事前登録を必須とする窓口(LINEなど)は除外した。
項目10、11調査理由:政治家には有権者との対話が不可欠です。インターネットを使った発信および受信のルートが確保されているべきです。
選挙期間における候補者ホームページの実態
- 小選挙区候補者全体の80.9%が公式ホームページを公開していた。政党別で見ると、公開している比率が多い順に国民=れいわ=公明、自民、立民、維新、社民、無・他、共産、NHKとなった。
- ホームページを公開している小選挙区候補者のうち、基礎的なSEO対策がよくできていると言えたのは48.5%だった。政党別で見ると、維新、公明が比較的良いと言えるものの大きな差はなかった。
- 一部のデザイン崩れを許容すれば、90.8%がスマートフォンに対応していた。政党別で見ると、共産が75%である以外に大きな差は見られなかった。
- 91.5%のホームページにおいて、画面をスクロールせずに顔写真とフルネームを確認できた。政党別で見ると、公明の100%をはじめとしてどの政党も高水準と言えた。
- 統一感のあるデザインと言えるのは全体で59.6%だった。政党別で見ると、良かったのは公明、比較的良くなかったのは共産、NHK、社民となった。
- トップページに、肩書きや実績だけでなく人柄や背景が伝わる形でプロフィールが書かれていたのは36.5%、肩書きや実績のみが書かれていたのは27.7%だった。政党別で見ると、公明が比較的高水準と言えるものの大きな差はなかった。
- トップページに政策が書かれていたのは50.5%だった。政党別で見ると、NHKが比較的低かったもののそれ以外に大きな差はなかった。
- トップページにポスター写真以外の写真があるのは、顔が不明瞭なものを含めると77.3%だった。一方で、動画が埋め込まれていたのは19.3%にとどまった。
- 最新情報が発信されていると言えるホームページは87%だった。政党別で見ても大きな差はなかった。
- 70.4%のホームページにおいて、問い合わせフォームもしくはメールアドレスが公開されていた。政党別に見ると、社民、維新、国民が比較的高く、NHK、共産が比較的低かった。
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今回の記事は以上です。