〈衆院選〉〝130票〟明暗 上越から2人代議士 衆院選新潟6区

 衆院選新潟6区は、過去例を見ない次点との票差わずか130票という大接戦を、立憲民主党新人の梅谷守氏(47)が、自由民主党前職の高鳥修一氏(61)を制し、悲願の衆院初当選を果たした。小選挙区での議席こそ明け渡したが比例復活ながら5回目の当選を決めた高鳥氏と合わせ、上越地域から与野党2人の衆院議員が誕生。それぞれ一夜明け喜びと決意を新たにしている。

◇「ここからがスタート」 一夜明け街頭に 梅谷氏

 歓喜の当選から一夜明けた1日、梅谷氏は通勤通学の時間帯に上越市内でつじ立ちを行い、あいさつをしながら手を振った。

 昨夜は午前2時30分に就寝し、同5時に目が覚めたという。たくさん届いたお祝いメールに一つ一つ返信していく中で、「勝った実感がじわじわ湧いてきた」と話す。

 この日の朝のつじ立ちに選んだのは、思い入れがある場所の一つという高田郵便局前の上越大通り沿い。午前7時30分ごろから、「とことん向き合う」と書かれたのぼり旗を立てながら行った。通行する車両や人々に向けて朝のあいさつを繰り返した。

手を振って朝のあいさつをする梅谷氏(1日午前7時30分ごろ、上越市大手町)

 コロナ禍のスキンシップとして選挙中も行っていた肘タッチ、グータッチをする場面も見られた。

 「紙一重の戦いだった」。梅谷氏は報道陣の取材にあらためて振り返り、「ここからが本当のスタート」と力を込めた。「とことん攻めて、必ず期待に応えたい」と決意を語っていた。

◇〝今度こそ〟結実 3度目挑戦、歓喜の初当選

 衆院選は3度目の挑戦だった梅谷氏。130票差というまれにみる激戦を制し、初当選を飾った。

当確を受け、支持者と喜びを分かち合う梅谷氏(31日午後11時50分すぎ、上越市木田1の選対事務所)

 12日間の選挙戦では無党派層への浸透などのため、選挙カーによる街宣を徹底した。争点の一つだった経済対策では分配から行うことを演説で訴えた。

 今回も大票田の上越市を制した他、4年前は負けた妙高市で勝ち、他3市町での票差を前回より縮めた。

 鍵を握るとみていた投票率は「希望的観測」(選対幹部)を上回るものだった。

 梅谷氏は万歳後のあいさつで「誰一人欠けても、この勝利をつかむことはできなかった」と述べ、全ての支援に感謝した。地道に活動を積み重ねてきたことや、自民党との政策の違いを出せたことも勝因に挙げた。

 選対本部長を務めた森裕子参院議員は報道陣の取材に対し、「ほっとした」と率直に語った上で、「本人が一心不乱に走り抜けた。みんなで〝今度こそ〟の思いを共有できた」と話した。

◇比例復活に喜びなし 約束「前に進める」 高鳥氏

 小選挙区での議席死守を目指した自民党の高鳥氏は、立憲民主党の新人、梅谷氏に議席を明け渡した。比例当選を果たしたが本人、陣営に喜びはなかった。

新型コロナウイルス経済対策や地域課題を「しっかり前に進める」と述べた高鳥氏

 小選挙区での敗北が決まった直後、高鳥氏は妻の里美氏と支持者が集まった上越文化会館に入った。「全ては私の不徳の致すところ」と述べ、2人で深々と頭を下げた。一方で選挙中に約束した補正予算での新型コロナ経済対策、地域の病院再編などは「しっかり前に進める」と力強く表明した。

 自身が務める党県連会長の進退については「小選挙区の議席を守れなかったことに責任を感じているが、(進退は)即答を控える」とした。

 選挙戦では、妙高市で梅谷氏に想定外の差をつけられ、上越市では前回選程度の票差で後塵を拝した。上越市の後援会幹部は「きょう(31日)から、次に向けて立て直しを図らなければ」と厳しい表情で話した。

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