両リーグDH制の議論が再燃 スニッカーは賛成、ベイカーは反対

ブレーブスの本拠地トゥルイスト・パークで行われたワールドシリーズ第5戦は、二刀流選手を除く投手が打席に入る最後の試合だったかもしれない。今オフに締結される予定の新たな労使協定によりユニバーサルDH(両リーグでのDH制)が導入される可能性があるからだ。ユニバーサルDHの導入については様々な意見があり、ワールドシリーズを戦う2チームの監督のあいだでも意見が分かれている。ブレーブスのブライアン・スニッカー監督は賛成、アストロズのダスティ・ベイカー監督は反対の立場だ。

ワールドシリーズ第5戦では両チーム合計5人の投手が打席に入ったが、これはワールドシリーズ史上最多タイ記録(7度目)だった。両チームの先発投手だけでなく、イニング跨ぎのリリーフをするためにA・J・ミンター(ブレーブス)とケンドール・グレイブマン(アストロズ)も打席に入り、ザック・グレインキー(アストロズ)は代打で登場。グレインキーはワールドシリーズでは98年ぶりとなる投手による代打安打を記録したが、ユニバーサルDHが導入されると、このようなシーンも観られなくなるだろう。

ブレーブスのスニッカー監督は「私はオールドスクールの人間なので、昨季ユニバーサルDHを経験するまでは賛成の立場ではなかった」とコメント。しかし、「今は賛成している。マックス・フリード(ブレーブス)、アダム・ウェインライト(カージナルス)、マディソン・バムガーナー(ダイヤモンドバックス)のように打てる投手はいるけど、彼ら1人に対して15人くらいの打てない投手がいる。彼らは打てないまま育ってきたんだ」と現在は意見を変え、ユニバーサルDHに賛成の立場を取っている。

アストロズのベイカー監督は、スニッカーとは異なる立場だ。「私は今のままでいいと思っている」とベイカー。「ア・リーグはDH制、ナ・リーグはDHなしでプレーする。どちらも面白いからね。私がユニバーサルDHに賛成しない理由は子供たちへの影響だ。子供たちが12歳、13歳、14歳くらいで守備に就きたくない、DHをやりたいと考え始めてしまう。野球選手になるためには、ただ打つだけでなく、もっと多くのことをしなければならないんだ」と主張する。

投手の打席の生産性が極めて低いのは事実だが、投手がヒットやホームランを打つことで球場が大きく盛り上がるシーンを目にすることも多い。様々な意見があるなか、メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会は、ユニバーサルDHの導入についてどのような答えを出すのだろうか。

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