京都大学霊長類研究所、研究費不正使用で改編へ

チンパンジー飼育施設工事をめぐる研究費不正使用が大きな問題になった京都大学霊長類研究所が事実上解体され、再編されることになった。京都大学は霊長類研究所が占有している愛知県犬山市の犬山地区を京大犬山キャンパスとしたうえで、霊長類研究所をヒト行動進化研究センター(仮称)に改編、一部の部門を別組織に移すとしている。これにより、世界的に著名な霊長類研究所の名称が消滅する。

京都大学によると、改編では2022年4月から霊長類研究所のうち、研究費や論文で不正が確認された2部門を含む3部門を廃止し、他の4部門を京都大学大学院理学研究科、野生動物研究センターなど別の部局に移す。

ヒト行動進化研究センターには、人類進化モデル研究センター、国際共同先端研究センターなど5部門が移行、チンパンジーのアイら動物の飼育はヒト行動進化研究センターが関連部局の協力を得て進める。

京大犬山キャンパスはヒト行動進化研究センターを含む複数の部門で構成する運営協議会を設立し、運営を含む全事項を決定する。

霊長類研究所は1967年の設立。日本の霊長類研究でパイオニアといわれる河合雅雄氏らが歴代所長に名を連ね、世界の霊長類研究をリードする最先端の研究を進めてきた。しかし、京都大学は2020年、元所長ら設備整備に関係する約5億円の研究費不正支出があったと発表し、この元所長ら計6人を懲戒解雇とした。元所長は教授としての地位確認を求める訴訟を京都地裁に起こしている。

参考:

【京都大学】霊長類研究所の改編の方向性について

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