【新型コロナ】ファイザーの経口治療薬、入院・死亡リスク89%低下 FDAに緊急使用申請へ

 米製薬大手ファイザーは5日、開発中の新型コロナウイルス感染症に対する経口治療薬(飲み薬)の臨床試験の結果について、入院や死亡のリスクを約89%低下させたと発表した。これを受け、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する。

「重症化リスクあり」の患者群で臨床試験

 同社の発表によると、臨床試験には発症から3日以内で、重症化リスクが高いとされる774人が参加。開発中の治療薬を投与される389人と、偽薬を投与される385人に分けられ、それぞれの治療成績を比較した(患者、医師ともにどちらを投与されているかわからない仕組み)。結果、偽薬を投与された群では27人が入院または死亡したが、治療薬を投与された群ではわずか3人だった。パーセンテージにすればリスクが89%低下したことになる。

 同社ではこの結果を受け、規制当局である米食品医薬品局(FDA)と協議の上、予定されていたさらなる試験を中止し、緊急使用許可を申請することを決めた。

 経口治療薬をめぐっては、米製薬大手メルクが開発した薬が入院や死亡リスクを約50%低下させたことが確認されたとして、先日4日にイギリスの規制当局から承認を得ている。日本政府はこの薬を年内にも承認する想定でメルクと供給契約の交渉を行なっており、ファイザー社の治療薬についても確保に向け取り組むとみられる。

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