〈衆院選回顧〉上越政界転変~〝130票〟の明暗〈中〉 梅谷氏 地道に選挙区入る  野党統一、最後までぶれず

 「1万票獲得目指し頑張ろう」。10月14日の解散を間近にした同9日、梅谷氏の妙高地域後援会事務所開きで気勢が上がった。獲得目標の具体的な数字に陣営の選挙に懸ける思いがこもる。梅谷氏は前回選挙で票差2000票まで高鳥氏に肉薄。上越市では優位に得票した一方、他の4市町票では後じんを拝した。

 結果的に今回の選挙は上越市で勝利。加えて、妙高市で目標の1万票には届かなかったが450票を積み上げ9198票を得票。高鳥氏の8541票を上回った。高鳥氏の牙城である糸魚川市では前回より1290票詰めた。

糸魚川市での最後の街頭演説に臨む梅谷氏。支援する市議、前市議らも応援演説で支持を訴えた(10月29日、糸魚川市)

 前回選挙から今回までの期間は4年。梅谷氏にバトンを託した筒井信隆氏(76)時代から選挙を見てきた支援者の一人は、「(梅谷)本人にはつらい4年だったろうが、この間、じっくり地域に入り、声を聴き選挙の準備ができた」と4年間の濃密な時間を振り返る。一方、安倍・菅、そして岸田政権と長期自公政権が続く中で、高鳥氏は4年間、全くの無役がないほど、政権、党で主要ポストを経験していた。しかし「政権への批判というか飽き、いや澱(おり)のようなもの」(自民系建設業役員)が生じていたことと重なり、上越政界を取り巻く環境も少しずつ状況が変わり始めていた。

 前回選挙後、早々に3度目の挑戦を決意した梅谷氏に、選挙を引っ張った市民団体・野党共闘勢力も同調。同じ立憲民主党に籍があった風間直樹元参院議員のくら替え出馬表明(10月15日に不出馬表明)があっても、「野党統一候補・梅谷」にぶれはなく、今回の勝利をたぐり寄せた。梅谷氏の「関わってくださった、誰一人が欠けてもつかめない勝利だった」の言葉がそれを表している。

© 株式会社上越タイムス社