ドイツ軍艦爆発事故79年 在日ドイツ大使館が墓前祭継承 根岸外国人墓地に100人参列

ドイツ軍艦爆発事故の慰霊碑に花輪を捧げるゲッツェ駐日大使=6日、横浜市中区の根岸外国人墓地

 第2次大戦中の1942年、横浜港で起きたドイツ軍艦爆発事故の墓前祭が6日、根岸外国人墓地(横浜市中区)で営まれ、日独の計約100人が犠牲者を悼んだ。地域住民や児童生徒らが約40年前から墓地の清掃や慰霊を続けてきたが世話人が高齢となり、今年から在日ドイツ大使館が主催し、歴史を後世に伝える。

 墓前祭は例年、横浜山手ライオンズクラブや地域住民をはじめ、墓地に近接する市立立野小学校と市立仲尾台中学校の児童生徒らが参加し、大使館武官を招いて開かれてきた。運営を継いだ大使館はこの日、東京横浜独逸学園(同市都筑区)の生徒を招待、東京港に5日寄港したドイツ海軍のフリゲート艦「バイエルン」の乗組員らも出席した。

 慰霊碑を前に、ゲッツェ駐日大使は子どもたちによる長年の清掃活動に感謝し、「若い人たちが犠牲者を思うことで未来を考えることができる」とあいさつ。ドイツ連邦軍のツォルン総監は「命を落とした水兵や日本国民は悲惨な戦争の犠牲者であり、ドイツ独裁主義の被害者。平和は当たり前のものでなく、日々守っていかなければならない尊いものだ」と語った。

 事故当時15歳だった森利子さん(93)は山手の横浜共立学園で授業中、爆発の衝撃で窓ガラスが割れて破片を頭から浴びたという。東京横浜独逸学園の生徒らに「あんな経験はもう二度としたくない」と語り、平和の尊さをかみしめた。

 事故は42年11月30日に発生。横浜港・新港ふ頭でドイツ軍艦3隻と日本の貨物船1隻の計4隻が爆発炎上し、ドイツ人や中国人、日本人ら計102人が亡くなった。

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