「緩やかに持ち直している」山口県内経済情勢 4期連続据え置き判断 山口財務事務所

 財務省山口財務事務所(TEL:083-922-2190)は、「県内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」と、四半期ごとに行っている2021年10月の「山口県内経済情勢」について、総括判断した。

 その要点は、「『個人消費』は新型コロナウイルス感染症の影響により、持ち直しの動きに一服感がみられる。『生産活動』は、サプライチェーンの問題により一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。『雇用情勢』は、新型コロナウイルス感染症の影響がみられるものの、緩やかに持ち直しつつある」として、4期連続で据え置いた。また、「設備投資」は前年度を上回り、「企業収益」は増益の見込み。「住宅建設」「輸出」とも前年を上回っている。

 ヒアリングした企業からは、「総菜や弁当の購入客が増えているため、売り上げが伸長している」(コンビニ)▽「巣ごもり需要が一服しつつあることや、前年の特別定額給付金の反動により、売り上げが減少している」(家電大型専門店)▽「化粧品など一部で回復傾向にある品目があるものの、8月以降の豪雨や感染再拡大の影響を受け、来店客数が減少した」(百貨店)▽「前年の特需の反動でマスクや消毒用品の売り上げが落ちている一方で、コロナワクチン接種に伴う副反応対策のため、解熱剤の売り上げが伸びている」(ドラッグストア)▽「半導体不足や東南アジアからの部品供給の停滞など、メーカーの供給面での制約により新車の納期が遅延しており、足下では受注台数にも影響が出ている」(自動車販売店)▽「県の感染拡大防止集中対策が終了し、プレミアム商品券の利用が再開されたことで県内からの利用が増え始めた。ワクチン接種が進んだこともあり、県外からの予約や問い合わせも増えてきている」(宿泊)▽「半導体不足に加え、東南アジアで感染症が拡大している影響で部品調達が滞っているため、生産調整を実施している」(輸送機械)▽「都市部の再開発や新幹線関連工事等の案件があり、国内・海外総じて出荷量を維持できている」(窯業・土石)▽「産業用機械や半導体製造装置向けなど幅広い用途で需要が堅調となっているため、フル生産となっている」(鉄鋼)▽「食品の個包装向けの樹脂原料などの需要が堅調で、先行きもフル生産が続く見込み」(化学)▽「求職者の中で、ワクチン接種が完了するまで就職を先延ばしする傾向があったが、ワクチン接種を終え就職活動を再開する動きがみられた」(職業紹介)▽「昨年、今年と県内からの就職希望者が増加するなど、地元志向が強まっている」(小売)▽「半導体需要の拡大に対応するため、工場の新設など製造設備への投資を行う」(化学)などの声が聞かれた。

 そして「先行き」については「感染対策を徹底し、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、サプライチェーンを通じた影響による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、国内外の感染症の動向を注視する必要がある」としている。

© 株式会社サンデー山口