「心臓の健康維持に最適な就寝時間、午後10時ごろ」英研究チームが論文

 英国の研究チームが、心疾患、脳卒中のリスク低下に就寝時間が関係しており、もっとも最適な就寝時間は午後10時台であることが分かったと発表した。国内の9万人近くの被験者データをもとにしており一定の信憑性が認められる研究で、論文は欧州の専門医学誌に掲載された。

腕時計型の加速度計で得られたデータから導き出す

 この成果は、2010年から開始された英国の国家的プロジェクト「UKバイオバンク」を活用した研究の一環。国内の中高年(40から69歳)のボランティア約50万人の尿、および血液サンプルを含む身体データを最低30年間、継続的に取得し追跡するプロジェクトで、様々な疫学的な発見をもたらすものと期待されている。

 今回研究チームは、このバイオバンクの参加者103,712名の同意を得て、手首に腕時計型の加速度計を装着してもらい7日間にわたってデータを収集、睡眠開始時刻と起床時刻を導き出した後、彼らの心臓や循環器系の健康状態について平均6年間にわたって追跡調査を実施。調査できた人たちのうち約3,000人が循環器疾患を発症しており、発症した人としていない人の就寝時間の違いなどを検証したところ、午後10時〜11時までに就寝している人の発症リスクがもっとも低いことが分かった。研究チームでは、特に女性において、睡眠開始時刻と発症リスクとの間に関連性がある可能性を指摘している。

 また今回、ウェアラブルデバイスにほぼ搭載されている加速度計のデータから今回の研究成果が導かれたことから、今後そうしたデバイスによる睡眠データの情報収集が有用である可能性も示したとしている。

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