「11月はキムチ漬け」、ユネスコに登録された民族風習 冬季から晩秋まで野菜を食べるための知恵

この時期、南北を問わず朝鮮半島ではキムチ漬けの風景を見ることができる。

朝鮮民族は、野菜を秋に多く貯蔵して冬季から晩春まで長期間にわたって食べられる最適の方法を創案した。キムチ漬けである。

 キムチを漬けておけば、その年の11月から翌年の3月まで5カ月分の野菜を貯蔵することになるので、これが一年中の半年糧食と言われてきた。

 13世紀に編纂された「東国李相国集」は、大根を塩に漬けるという記録と野菜の加工品を貯蔵する「料物庫」があったと伝えている。

平壌市民の家庭でもキムチ漬けが行われる。(C)朝鮮新報

 1451年に編纂された図書「高麗史」には、高麗時代にクンジョ(セリキムチ)、チョンジョ(大根キムチ)、ピジョ(ニラキムチ)のようなキムチがあったことと、キムチを漬けて貯蔵、保管する国家機構もあったと記録されている。

 キムチの生産が工業的方法で行われている現在も、伝統的なキムチ漬け風習は各家庭で引き続き継承されている。

 白菜、大根、キュウリ、セリのような野菜や山菜を基本材料にし、そこにトウガラシ、ネギ、ニンニク、ショウガで作った薬味と魚、塩辛などを混ぜて乳酸発酵させたキムチは、朝鮮人民の食生活において欠かせない民族伝統食品となっている。

 2015年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、朝鮮のキムチ漬け風習を世界無形文化財に登録した。

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