【ドラッグストア協会】成長戦略に「調剤」/2025年度に2兆円・シェア30%へ

【2021.11.12配信】日本チェーンドラッグストア協会は11月12日に「ドラッグストア研究レポート報告会」を開き、成長戦略として「調剤の拡大」を掲げた。2025年度までに2兆円、30%のシェアを目指すとした。2兆円はドラッグストア産業が目指す産業規模10兆円の20%に当たる。

薬剤師の確保背景に中堅ドラッグも調剤を積極展開

日本チェーンドラッグストア協会は成長戦略として「調剤の拡大」や「OTC市場の拡大」、「オンライン化への対応」、「規制緩和問題への対応」などを挙げた。

「調剤の拡大」については、ドラッグストア調剤は毎年10%程度伸びており、2020年度で1兆円を超えている。調剤医療費中のシェアも約15%に達している。
こうした伸長を続けることで、2025年度には2兆円、調剤市場のシェア30%を目指すとした。
2兆円はドラッグストア産業が目指す産業規模10兆円の20%にあたる。
背景として高齢者人口の増加(割合ではなく絶対数の増加)を挙げ、処方箋枚数が増加していくとする。特に高齢者人口が顕著に増加する都市圏はドラッグストアの展開地と重なる。
薬剤師をめぐる環境については、薬剤師の安定的確保が課題になるが、毎年の合格者が約1万人おり、加えてメーカーの採用抑制も確保にプラスとする。
業界を取り巻く状況については、大手を中心に旺盛な新規出店を行っており、調剤併設化の意欲が高まっているとした。中堅ドラッグストア企業においても、薬剤師の確保を理由に調剤への参入が活発化している。

調剤拡大の課題としては4つを挙げた。「調剤報酬の動向」、「在宅シフトへの対応」、「薬剤師供給の見通し」、「薬局管理者の能力と経験の確保(5年の薬局勤務経験)」だ。

調剤報酬の動向については、調剤料が縮減の方向になっており、対物から対人へのシフトやかかりつけ機能の強化が必要とする。薬局機能の差別化として地域連携薬局制度が導入されていることにも触れた。認定薬局については協会がビジョンとして掲げてきた健康ハブステーションとの親和性が高いとして、認定取得も選択肢だとする。
在宅シフトへの対応においても地域連携薬局が地域包括ケアシステムの一翼を担う方向と説明した。薬剤師供給の見通しについては、文科省が薬学部の定員削減に向けた検討を開始していることに注視している。

OTC市場拡大では「消費者を味方に」

「OTC市場の拡大」においては、「スイッチOTC化促進」と「セルフメディケーション税制の拡充」、「費用負担の公平化」を3本の矢とした。
スイッチOTC化の拡大では「消費者を味方に」した展開を視野に入れる。
スイッチOTC拡大のためには販売ルールの遵守徹底が必要であり、登録販売者の活用(資質向上)も課題になるとした。

オンライン化推進で門前薬局からの処方箋獲得へ

「オンライン化」への対応では、オンライン資格確認や電子処方箋などを控え、資金力や組織力、技術力のあるドラッグストアに有利な環境とした上で、立地のハンディが解消し、門前薬局の処方箋獲得につながっていくとの見方を示した。
課題として、OTCや健康食品などの商品購入情報をどう取り込むかといった点や、中小の医療機関の準備遅延のためにオンライン処方箋で「2トラック対応」になる懸念を示した。

「規制緩和問題への対応」では、協会の立場を改めて表明。
OTC医薬品をめぐる「リモート販売」については「反対」。
「調剤の委受託」については「反対」、加えて「処方箋1日40枚制限」については「反対」の考えを示した。
「オンライン服薬指導」については、「厳格な条件が必要」とした。

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