過去1人だけの「新人王投票で複数回得票した選手」が今年は2人誕生

出場試合数などの関係から複数のシーズンにわたって新人王資格を保持することは珍しくないが、複数のシーズンで新人王候補になるのは非常にレアケースである。実際、過去に新人王投票で複数回得票したことのある選手はグレッグ・ジェフリーズ(1988年6位・1989年3位)しかいなかった。ところが、昨季が60試合制の短縮シーズンだったため、2020年の新人王投票で得票しながらも新人王資格を保持したままの選手が4人も誕生。そのうち2人が2021年の新人王投票でも得票し、史上2人目と3人目の「複数回得票者」が生まれた。

昨季は60試合制の短縮シーズンだったため、新人王資格をキープできるくらいの少ない出場試合数でも新人王候補になることができた。そのため、ライアン・マウントキャッスル(オリオールズ)、イアン・アンダーソン(ブレーブス)、シクスト・サンチェス(マーリンズ)、キブライアン・ヘイズ(パイレーツ)の4人は、昨季の新人王投票で得票したにもかかわらず、今季も新人王資格を保持。このうち、マウントキャッスルとアンダーソンが今季の新人王投票でも得票し、ジェフリーズに次ぐ史上2人目、3人目となった。なお、サンチェスは故障で今季を全休したため、新人王資格をキープしたまま来季を迎える。

ジェフリーズは1987年9月、20歳のときにメッツでメジャーデビューして6試合に出場。新人王資格を保持したまま1988年を迎え、この年は8月下旬に昇格して29試合で打率.321、6本塁打、17打点、5盗塁、OPS.961の好成績をマークした。短期間ながらも好成績を残したことが評価され、新人王投票では3ポイントを獲得して6位タイにランクイン。しかし、出場試合数が少なかったため、再び新人王資格を保持したまま1989年を迎えることになった。

1989年は開幕から正二塁手として起用され、141試合で打率.258、12本塁打、56打点、21盗塁、OPS.706を記録。冴えない成績ではあったものの、1年を通してレギュラーを務めたことを評価され、新人王投票では3位にランクインした。これが新人王投票における唯一の「複数回得票者」である。2020年の短縮シーズンのようなイレギュラーがなければ、ジェフリーズ、マウントキャッスル、アンダーソンに次ぐ4人目はなかなか誕生しないのではないだろうか(サンチェスが4人目になる可能性はある)。

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