日本昔話研究の開拓者 関敬吾氏の紹介動画 故郷の小浜・富津で披露

スクリーンで上映される「日本昔話研究の開拓者 関敬吾」=雲仙市小浜町、富津漁民センター

 長崎県雲仙市小浜町の富津地区出身で、日本の昔話研究に取り組んだ民俗学者、関敬吾氏(1899-1990年)の生涯と功績を紹介する動画が完成した。郷土の偉人に光を当てようと、市が制作。同地区の富津漁民センターで13日、完成披露会があり、地元関係者ら約30人が視聴した。
 タイトルは「日本昔話研究の開拓者 関敬吾」(約13分)。市図書館(室)でDVDを貸し出すほか、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも視聴できる。
 関家は同地区の網元で、敬吾氏は10人きょうだいの末っ子で五男。敬吾氏のほか三男と四男も児童教育などの分野で功績があり、地元では「関三兄弟」として知られている。
 敬吾氏は東京大付属図書館の司書を務め、民俗学者の柳田国男氏に出会い、国内で語り継がれてきた昔話を研究。日本の昔話を世界の昔話の分類に当てはめて「日本昔話集成」(全6巻)などにまとめ、現在の研究につながる基礎を築いた。
 動画は富津の風景、敬吾氏に関わる資料、研究者らへのインタビューなどで構成。上映後、制作を振り返るエピソードトークがあり、シナリオとナレーションを務めたフリーアナウンサー、前田真里さんは「敬吾さんの功績の源は、この富津の地域にあった。海に開かれた港町に育ち、世界へと視野を広げたのだと感じた」と振り返った。
 市教委生涯学習課の丸木春香さんは「取材を通して、敬吾さんは『学問の鬼』と称されていたが、家族には優しく、魚(料理)が大好きだったと聞いた」と人柄を紹介した。

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