日本のことば事典「地蔵」

日本の至る所で目にする小さな石像。名前を「地蔵(じぞう)」と言います。多くの日本人が親しみを込めて「お地蔵さん」と呼ぶ仏像です。

地蔵は、現世を生きる全ての存在を導き、救う仏様で、多くは修行僧の姿をしています。昔から日本人の身近にあり、人々の悩みを慈悲の心で救ってきました。

日本の昔話「笠地蔵(かさじぞう)」(※1)でも知られるように、人々が助けを必要とする時に救ってくれると信じられ、人々はあらゆることを地蔵にお願いするようになったそうです。

本記事は日本各地に存在する地蔵のなかから、中でも代表的なものをご紹介します。

子どもにまつわるお願い事をするなら、京都大原三千院の「わらべ地蔵」

世界の人気観光地ランキングで常に上位に入る京都。大原三千院はそんな京都にある、美しい苔の庭で知られる静かな寺院です。三千院の庭には「わらべ地蔵」と呼ばれるお地蔵様がいることで知られています。

立っているもの、座っているもの、寝転がるもの、首をかしげるもの…どれもこれも愛らしく、見る人の心を癒してくれます。のんびりと散策をしながら「隠れわらべ地蔵」を探し出すのも楽しいでしょう。

「わらべ」は子どもという意味で、わらべ地蔵は安産を願う人、子どもを授かりたい人、子どもを守りたい人の願いを叶えると言われています。幸せな出産や子育てを願うなら、京都観光のコースに組み込んでみてはいかがでしょうか。

拝観時間は時期によって異なりますが、09:00〜16:00であれば、どの季節でも参拝することができます。拝観料は大人700円です。アクセスは空港や駅からは乗り継ぎが必要となり少し不便なので、三千院がコースに含まれた市内観光バス等が便利かもしれません。

健康・長寿のお願い事をするなら~巣鴨のとげぬき地蔵

とげぬき地蔵」は、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨にあります。

残念ながら、地蔵本体は公開されていませんが、保管されている高岩寺で、縦4cm、横1.5cmの和紙にお地蔵さんの絵が描かれた「御影(おみかげ)」を手に入れることができます。

その御影を身に付けたり、お地蔵さんに「治してください」とお願いしながら、痛みのある部分に当てたり、細かくちぎって食べたり、水で飲み込んだりすると治ると言われています。

御影は5枚100円で、拝観時間内(6:00-17:00)に購入することができます。

とげぬき地蔵のある高岩寺は、東京都内を回るJR山手線の巣鴨駅から徒歩5分という電車では行き易い場所にあります。駐車場が無く車両規制の時間帯があるため、レンタカーでの移動を考えている場合は要注意です。

拝観料は無料ですし、アクセスも便利なので、ご自身やご家族の健康に悩みがあるなら、行ってみる価値があるかもしれません。

どうしても叶えたいお願い事があるなら~鈴虫寺の幸福地蔵

一年中鈴虫が鳴いている京都妙徳山の華厳寺、通称「鈴虫寺」の石段を上った門の脇に立つ「幸福地蔵」は日本で唯一わらじ(※2)を履いています。理由は願い事をした人の所まで、歩いて助けに行くためなのだとか。

お願い事をする時にはお地蔵さんがちゃんと家まで来てくれるよう、名前と住所を言ってから願い事を言います。そしてお守りを常に身に着けておくと、災いから守り、願いを叶えてくれるそうです。

願い事が叶った時、一年経った時は、直接または郵送でお寺に返し、感謝の気持ちをお地蔵さんに伝えましょう。拝観料は大人500円、お守りは300円、拝観時間は09:00〜17:00です。京都駅から鈴虫寺行きの京都バスに乗り、約1時間ほどで到着します。

昔から日本人の側で人々の生活を優しく見守ってくれているお地蔵さん。観光の時に見掛けたら、お祈りしてみましょう。もしかしたら願い事を叶えてくれるかもしれませんよ。

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