彭帥失踪問題が飛び火 米上院議員がNBAを批判「共産主義の独裁者たちの前ではいつくばった」

彭帥(ロイター)

中国の女子テニス選手・彭帥(35)の失踪問題をめぐり、中国政府は人権をないがしろにしているとして同国での全大会中止を発表した女子テニス協会(WTA)。この決断について米国の保守強硬派として知られる有力政治家、テッド・クルーズ上院議員(50)は、「WTAはNBAよりずっと根性がある」と絶賛した。

クルーズ氏は2日、米ラジオのトーク番組「クレイ・トラビス&バック・セクストン・ショー」に出演。「このような勇気が広がり、より多くの人たちが(人権のため)立ち上がることを期待する」と訴えた。

一方、クルーズ氏がこき下ろしたのは北米男子プロバスケットボールリーグ(NBA)だ。これは2019年、中国政府による香港での国家安全法導入をめぐり、民主主義や人権の危機に直面しているとして大規模な抗議デモが広がった際、NBAヒューストン・ロケッツのダリル・モーリーGM(当時)が「自由のために戦え。香港のために立ち上がれ」とツイートした。

すると、激怒したスポンサーやファンなど中国側から批判が殺到。中国の放送局や配信サービスはロケッツの試合を今後扱わないと警告した。NBAは中国でも多くの視聴者を持ち、特にロケッツは2002年に中国人の姚明(ヤオ・ミン)選手と契約したことでチーム人気が高まった。

予想外の反応に驚いたモーリー氏はあわてて問題のツイートを削除し、中国側に謝罪した。

クルーズ氏は同トーク番組でこの騒動を蒸し返し、「NBAは共産主義の独裁者たちの前ではいつくばった」とし、ふがいなさを猛烈に非難した。

WTAは1日、中国の前副首相に性的関係を迫られたことなどをSNSで告白した直後から消息不明となったとされる彭帥について、同協会のスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は中国政府に繰り返し問い合わせた。だが、「中国は非常に深刻なこの問題に信頼できる対処をしていない」などとし、香港を含む中国での全9大会を中止すると発表した。

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