蒲原沢土石流災害から25年 自然災害伝承碑登録 市長ら慰霊碑献花 糸魚川市

 6日、糸魚川市と長野県小谷村の県境で発生した「蒲原沢土石流災害」から25年が経った。米田徹市長、小林正広消防長、地元の山岸廣・大所区長が現場近くに立つ慰霊碑前で、災害で犠牲になった人々の冥福を祈り、あらためて防災、減災への思いを強くした。

慰霊碑に献花し、犠牲者の冥福を祈って手を合わせる米田市長

 災害は平成8年12月6日、「7・11水害」(同7年7月11日発生)の復旧工事が行われていた現場で発生。同市や県外から工事に従事していた作業員ら14人が突如襲った大規模な土石流に巻き込まれ、尊い命を失った。

 慰霊碑は災害の教訓を風化させず、後世に伝えるため、災害後、新たに架けられた国道148号の国界橋橋詰に建立。犠牲者の名前と災害の概要を記した碑文が刻まれている。

 碑は今年、国土地理院(国土交通省)による「自然災害伝承碑」に登録された。地形図などへの掲載が進められており、市内では同碑を含めて12基が登録された。

国土地理院の「自然災害伝承碑」に新たに登録された蒲原沢土石流災害の慰霊碑(国道148号国界橋付近)。災害の記録と教訓を後世に伝えている

 米田市長は毎年同日朝に慰霊碑に献花を行っている。今年も冷たい雨が降る中、碑を見詰めて丁寧に花を供えて手を合わせた。寒さが当時の記憶を呼び起こし、「信じられない出来事だった。25年たっても毎年12月6日が来ると、あの時のことが思い出される」と振り返った。山岸区長(84)も「25年が早いというか、長かったというか」と歳月の流れを実感した。

 米田市長は「悲しく、痛ましい大災害だった。二度と起きてはならない」とし、新たに伝承碑として登録されたことを受け、「より(防災対策に)しっかり取り組んでいかなくては」と気持ちを引き締めた。

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