ガールポップの歌姫 “井上昌己” 90年代の空気感が味わえる2つのライブ映像  ガールポップの歌姫、井上昌己

井上昌己、トーラスレコード時代の映像作品が初DVD化

2021年12月8日に、井上昌己がデビューから約10年間在籍したトーラスレコード時代に発売された4つの映像作品が初DVD化され発売になる。今回このDVDセットには2タイトルのライブ映像と、2タイトルのクリップ集が収録されている。

今回ご紹介するのはライブ映像2タイトルだ。井上昌己は1989年5月24にメジャーデビューを果たし、年末の12月18日にTOKYO FMホールでファーストコンサートを行っている。

翌1990年6月に初のコンサートツアーを実施。大阪、名古屋、東京で行われたコンサートツアーの東京公演が今回の映像作品として収録されている。1990年6月18日に日本青年館で行われたツアーファイナルは、若干緊張気味な井上昌己の姿も印象的だが、歌詞をかみしめるように歌う当時のひたむきなパフォーマンスには感動さえ覚える。

自らピアノで弾き語る初期代表曲「YELL! -16番目の夏-」

初期の代表曲でもある「YELL! -16番目の夏-」では本人もピアノの弾き語りで参加し、力強いメッセージと熱気のようなものが映像からも伝わって来るようだ。そして、映像のラストに収録されているアルバムのタイトルナンバーでもある「matiere 21」。松井五郎が作詞を手掛けた当時21歳の井上昌己を表現した等身大のバラードだが、アンコールで昌己が涙交じりに歌い上げた感動の1曲でもある。

その後も多くのコンサートツアーで全国を回ることになる彼女だが、このツアーをやり遂げたことで、その後も続く活動への自信のようなものを手に入れたのではないだろうか。この映像作品からはそんな井上昌己の強い決意を感じることが出来る。

Fair Wayツアーから選りすぐりの10曲

翌年からもアルバムをツアータイトルに掲げた『Just Open The Door』『FACE TO FACE』『彼女が泣いた夜』『愛の神様 恋の天使』『Fair Way』『Up Side Down』や東名阪で行われた『LOVE IS GREAT!』と多くのコンサートツアーを行ってきた彼女だが、映像作品として残されているのは『Fair Way』の東京公演のみである。他のツアーも大成功を収めていただけに、作品として残されていないのが非常に残念である。

そして今回初DVD化になる『Fair Way』は日本青年館のコンサートから約5年後の映像作品で、名古屋、大阪、仙台、札幌、福岡、東京で行われた東京のファイナル公演の模様が収録されている。

アンコールを含めて20曲歌われたセットリストから10曲がセレクトされ収録されているが、「恋が素敵な理由」「恋はLiberty」「悪いひと~もうひとつのBitter」等、コンサートの定番ソングが収録されており、乗りに乗っていた当時の彼女のパフォーマンスを体感することが出来る貴重な作品だ。

NHKホールという5000人キャパの広い会場を自由自在に歌い踊る彼女の成長過程を垣間見ることが出来る。今回2つのコンサートを比較するだけで、アーティストとして、一人の女性としての歴史のようなものを体感できる部分がとても興味深い。

今回この作品をご覧になるであろう井上昌己ファンの方にとっても、90年代の空気感を今改めて感じることのできる、自身へのプレゼントのような作品になるかもしれない。

カタリベ: 長井英治

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