副市長4人制、否決 反対議員「まずはビジョンを」 上越市議会12月定例会本会議

 上越市議会は15日、12月定例会本会議を開いた。中川幹太市長の公約をはじめ重要な政策テーマの推進を目的とした副市長4人体制に向けて副市長の定数を2人増やす条例一部改正案を、起立による賛成少数(1人)で否決した。

 討論には4人が通告。宮川大樹氏(みらい)、宮越馨氏(無所属)、平良木哲也氏(共産)の3人が反対の立場、鈴木めぐみ氏(政新ク)が賛成の立場で臨んだ。

 宮川氏は「(副市長を)2人純増することで年間2000万円以上、財政負担を増やすことになる」「現時点で組織改革の全体像がはっきりしない」などと指摘した上で、「性急な提案であると判断せざるを得ない」と結んだ。

 宮越氏は「分野別の副市長制を否定するものではない」とした一方で、「まずはビジョンをどうするか。上越市の将来ビジョンを描き、実現のために従来の行政執行体制を変え、分野別の副市長制にするのが肝。『仏作って魂入れず』ではいけない」と指摘した。

 平良木氏は「市政運営の全体的な所信表明を抜きにして、副市長を4人にするのは納得できない」と強調。「どのような行政組織・機構にしていくのか、柱だけでもまず明らかにすることが必要。順序を踏まずに提案されており、賛成できない」と述べた。

山積課題に対応 民意尊重すべき 賛成議員

 鈴木氏は「会派を代表してではなく、私個人として」賛成討論。「新市長を応援し、公約に賛同した多数の市民の意見を最大限尊重すべき」「今までと同じ(副市長)2人体制で課題山積の市政に取り組んでいては、特に上越市の人口減少が止まるとは思えない」などと述べた。

 副市長4人体制をめぐっては、本定例会を通じて議員から疑問の声が続出。定数条例改正案が総務常任委員会で全会一致で否決されたことを受け、市は同案の可決を前提に追加提案する予定だった副市長選任案の提出を取りやめていた。

 また、市が政策諮問委員に係る費用を全額削減、組み替えて再提出するよう求める動議を委員会可決した一般会計補正予算案については、動議の内容に沿って訂正されたものを可決した。 

2日間会期を延長し追加提案

 同日は、本定例会の会期を2日間延長して17日までにすることを決めた。18歳以下を対象にした10万円相当の給付について、国の方針転換を受けて全額現金で一括支給する議案審議のための措置。

 16日は休会し、17日に所要経費と関連歳入を増額する本年度一般会計補正予算案が追加提案され、即日採決する。予算案は歳入歳出に14億1607万円を追加し、予算規模を1029億2713万円とするもの。

1年かけ議論 再び提案へ 中川市長

 副市長4人体制の議案否決を受け、中川幹太市長は取材に対し、「真摯(しんし)に受け止め、副市長4人体制と政策諮問委員などの人事改革は職員や議会、市民の皆さんと議論していきたい」とし、令和5年度からの導入に向け提案していく考えを示した。

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