”ホテルガチャ”、実際に並んで体験してみた 気になる結果は?【レポート】

東武鉄道は、東武ホテルグループの宿泊券やレストラン食事券が当たる「ホテルガチャ」を、12月16日から東京ソラマチで販売した。実際に並んで「ホテルガチャ」を体験したレポートをお届けする。

「神ガチャ」の予感…取材ではなく実際に並んで体験してみることに

日本初の「ホテルガチャ」は、ACホテル・バイ・マリオット東京銀座の朝食付きプレミアムルームや、日光・中禅寺金谷ホテルの宿泊券のほか、東京スカイツリー天望デッキ内の「Sky Restaurant 634」のディナー食事券など16プランのいずれかが当たり、最大2名で利用できる。利用期間は2022年1月4日から3月31日まで。

価格は税込5,555円で、ACホテル・バイ・マリオット東京銀座などの宿泊券があたれば破格だ。その他のラインナップも定価は5,555円以上で、損をしない仕組みだ。

ガチャといえば、ピーチ・アビエーションの「旅くじ」が話題になったが、「旅くじ」は、6,000円分以上のピーチポイント(ほとんどが6,000円分のポイントとみられる)が入っており、指定した行き先の航空券の購入にのみ利用できる。セール時期を狙えば「旅くじ」のポイントだけで航空券を手配することも可能だが、当選したポイントだけで往復航空券を入手するのはやや難しいだろう。また、休みが土日固定の社会人が利用する場合、有給休暇を取るか、差額の支払いを覚悟する必要がある。週末の良い時間の航空券を取ろうとすると、片道1万円を超えるのも"ザラ"なので、はっきり言ってお得感は少ない。

比較して、今回の「ホテルガチャ」は、土日などの利用制限がない、宿泊券か食事券があたる。正月三が日を除いていつでも利用できるのが良心的だ。基本的にサービスを受ける際に追加料金は不要なことも画期的といえる。筆者は「旅くじ」には見向きもしなかったが、「ホテルガチャ」は、当選したサービスを利用したいと感じ、実際に並んでみた。

早朝に「もう列ができている」投稿が 整理券前倒しで配布終了

「ホテルガチャ」を体験するにあたり、一番乗りなどを狙うつもりはなかったものの、確実に体験したかった。公式ウェブサイトには前日から並ぶことについては控えるよう記載があり、前日から並んでいる人はいないように見受けられた。

一方、午前6時の時点で、SNS上には待機者がいるとの投稿があったため、慌てて自宅から会場となる東京スカイツリータウン付近まで向かう路線バスに乗車。東京スカイツリータウンの押上駅側(イーストヤード1階12番地館外)から整列されている待機列には午前7時前に到着した。

詳しくは後述するが、この時点で前から約250〜275番のポジショニングだった模様だ。この後も待機列に加わる人は絶えず、どうやら午前7時30分頃までに並べるかどうかが「ホテルガチャ」を体験できるかどうかの分かれ目だったようだ。

待機列では大きな混乱はなかった。看板など案内もあまりなく、私服姿の関係者(と思われる人物)が、地声でアナウンスをしていた(メガホンくらいは用意したほうがよかったのではないか)ことが印象的だった。割り込みも禁止で、配布する整理券は時間が早い順から配布し、時間指定はできないとのことだった。

当初は午前9時から整理券を配布することになっていたが、午前7時半ごろにはすでに500名ほどが集まっており、午前8時に前倒して整理券配布を開始。ただ、整列についての案内がなく、定員500名を超えて列ができており、後に並んだ人には整理券がが配布されなかったようだ。結果として、午前8時過ぎに"完売"(整理券配布終了)し、「瞬殺」という形だった。

受け取った整理券を見ると、券番の記載はないものの午後3時から午後3時30分までの整理券を手に入れた。今回は1人1枚(個)限定で、500個が販売される。30分ごとの枠で25個が販売され、午前10時から午後8時までの計20枠で500個が販売されると推定できる。この方法によれば、筆者が午前7時前に列に加わった時点で前から250〜275番目であったと推定できる。

一回帰宅した後、ガチャを体験するために再訪

一旦帰宅してみると、「ホテルガチャ」はテレビの生中継で報道され、SNS上でも多くの投稿があるなど、改めて高い関心を実感させられた。指定の時間にガチャを体験すべく、自転車で東京スカイツリータウンに向かった。

30分で25個を販売するため、東京ソラマチ3階にある特設会場では大きな混雑・混乱はみられなかったが、多くのスタッフの姿があり、開始から5時間が経過しているものの報道陣の姿が見られるなど、平日の商業施設としては異様な雰囲気だった。

支払いは各種QRコード決済のみ。PayPayで支払う人が多いように感じた。「ガチャ」の隣に係員がおり、QRコードのかざし方から「ガチャ」の取り出し方まで付き添って説明してくれるため、初めての操作であっても"手こずる"ようなことはなかった。「ガチャ」の体験した後、多くの人がその場から離れてから開封しており、周辺が盛り上がる様子もあまりみられなかった。

ある程度、体験する他の人の様子を観察した後、筆者も実際に体験してみることに。

今回のガチャ、"あたり"と"はずれ"は?

実際に筆者の結果を見る前に、今回のガチャのラインナップを改めて見てみよう(宿泊は1室2名まで、レストランは2名分)。

・ACホテル・バイ・マリオット東京銀座 プレミアムツインまたはプレミアムダブル 1泊 朝食付き

・ACホテル・バイ・マリオット東京銀座 スーペリアツインまたはスーペリアダブル 1泊 素泊まり

・コートヤード・マリオット銀座東武ホテル プライムキング 1泊 素泊まり

・宇都宮東武ホテルグランデ スイートルーム 1泊 朝食付き

・浅草東武ホテルまたは川越東武ホテルまたは和光市東武ホテル(選択) ダブルルームまたはツインルーム 1泊 素泊まり

・日光金谷ホテル スタンダードルーム 1泊 素泊まり

・日光アストリアホテル 和室または洋室 1泊 素泊まり

・仙台国際ホテル カジュアルツインルームまたはカジュアルダブルルーム 1泊 素泊まり

・フェアフィールド・バイ・マリオット札幌 ツインルーム 1泊 素泊まり

・Sky Restaurant 634 デイナー「粋」+東京スカイツリー天望デッキ入場券

・ACホテル・バイ・マリオット東京銀座 AC Kitchen ランチ プリフィクスコース

・コートヤード・マリオット銀座東武ホテル ラウンジ オアシス アフタヌーンティー

・東武ホテルレバント東京 レストラン ヴェルデュール ディナービュッフェ

・東武ホテルレバント東京 レストラン 簾 日本料理 ランチ 三簾重

・渋谷東武ホテル レストラン 竹園 ランチコース 楊貴妃

額面からみると、"あたり"は、銀座の東武ホテル、特に「ACホテル・バイ・マリオット東京銀座 プレミアムツインまたはプレミアムダブル 1泊 朝食付き」が大あたりだろう。宇都宮東武ホテルグランデのスイートルームも心惹かれる。日光地区のホテルもなかなか泊まる機会がなく貴重だろう。レストランは「Sky Restaurant 634 デイナー「粋」+東京スカイツリー天望デッキ入場券」が大あたりだろう。

"はずれ"は各個人で感じ方が異なるが、泊まったことがあるホテルや、利用したことがあるレストランがあたるのはできれば避けたい。個人的には東武ホテルグループのホテルはリストにあるものは利用したことがないため、「どれがあたってもいいや」という気持ちで臨んだ。強いて言えば、レストランは利用時にドリンクを注文したいが、別料金になるのではという懸念があり、食事券があたったらどうしようかと思案していた。

実際に体験してみた

実際に「ホテルガチャ」を体験してみた。人があまりいなくなったタイミングを見計らったタイミングで並び、QRコードで決済する。

自分でハンドルを回すと、金の玉が出現。中身は開けないとわからない仕様だ。

結果は…?

「渋谷東武ホテル レストラン 竹園 ランチコース 楊貴妃」だ。宿泊券が出るのではという心構えだったため、でた結果に対してどうリアクションしてよいかわからなくなった。

公式サイトによれば、コースの内容は、中国オードブル 四種銘々盛り合わせ、大海老と帆立の翡翠炒め、気仙沼産手びれフカヒレと乾貨の壺煮込み、自家製手のし小籠包 鎮江黒酢添え、 焼きニラ饅頭、国産牛もも肉と彩り野菜の黒胡椒炒め、竹園特製 ”海の幸たっぷり“ XO海鮮湯麵、マンゴー杏仁 中国点心、コーヒーとなっている。1人あたりの料金は税・サービス料込みで4,500円。2人分で9,000円となり、今回のガチャの代金と比較すると約4割引となる。なおドリンク代などは含まれていないようだ。

筆者がよく利用する東急田園都市線〜東京メトロ半蔵門線〜東武スカイツリーラインの車内広告でよく目にすることはあり、最近は目にすることがなかったためすごく懐かしい気持ちになったとともに、実際に利用できるとなればとてもワクワクする。

「ホテルガチャ」を体験してみて

自宅から近いこともあって、気軽に体験してみようと思ったが、結局1日がかりとなった今回の「ホテルガチャ」。筆者が抱いた感想はいくつかある。

まず、「ホテルガチャ」の完成度だ。どれを引いてもはずれはなく、額面以上の体験ができることは非常に好奇心をそそり、冷え込んだ旅行意欲を掻き立てられた。大規模で各地に拠点があるホテルグループならではの体験が提供されるのは特筆すべき点だろう。

価格設定も申し分なく、気軽に「ホテルガチャ」を体験してみようと感じさせてくれる、絶妙な設定だった。今回、各景品の割合などは公表されなかったものの、購入者の満足度は高かったのではないか。

一方で、初の試みということで目をつぶろうと思うが、やはり、早朝から並んで、渡された整理券が数時間後というのは、体力的にキツイのが本音だ。安定的にガチャが供給されるようになれば、行列に加わる必要もなくなるだろうから、今後の動きに期待したい。

また、「ホテルガチャ」のマシンの存在は話題作りや、商業施設の利用促進には有効だが、今回はあまりにも並ぶ時間や待ち時間が長く、商業施設を利用する気が削がれてしまったので、オンラインなどで気軽に「ホテルガチャ」が引けるようになってもよいのではないかとも感じた。

ただ、先述の通り、総合的な「ホテルガチャ」の満足度は高いと感じた。外国人観光客の蒸発などにより冷え込みが続くホテル業界において、「ホテルガチャ」は救世主となるか。今後の展開に期待したいところだ。

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