戦略国家・朝鮮の地位と金正日総書記の決断 試練の時期に先端技術開発に集中投資

普通の人は何の機械だか分からない機械の前で足を止めた。95年4月、さまざまな製品が展示されたホールで、金正日総書記はひと目でそれがCNC(コンピューター数値制御)工作機械であることを見分けた。

蓮河機械開発集団が作りあげた機械だった。

 入力したプログラムどおりに作動する過程を見て、自国の力でCNCを開発できるという自信を深めた。

CNC工作機械の開発を指導する金正日総書記(朝鮮中央通信)

 そして98年1月、機械工業を新たな段階に推し進めることが強盛国家建設の要と見て、貴重な資金をすべてCNC生産工場の現代化に使うことを決心、慈江道への現地指導に向かった

 苦難の行軍と呼ばれる当時は食糧問題が喫緊の課題だった。総書記は当時を振り返り、そのお金で苦しむ人民に食糧を提供する考えがなかったわけではない、しかし将来を見据えCNC化に回すことを決心した、心の中では涙ではなく血涙が流れたと述べた。

 それから10年余、慈江道に位置する煕川蓮河機械工場が、朝鮮がいうところの「新世紀産業革命」の端緒を開いた

煕川蓮河機械工場のCNC工作機械(朝鮮新報)

 こんにち朝鮮は核、ミサイルなど強力な自衛力を持つ戦略国家としての地位を確立した。最先端兵器を国内生産するにはCNC技術が必要不可欠で、総書記の決断抜きには考えられない。

 また機械分野だけでなく経済すべての領域で自力更生の強固な土台が築かれ、制裁をもろともせず発展の一途をたどっているのも、身を削りながら実施した総書記の強行軍によるものだ。

 逝去10周忌、総書記の先見の明と献身的な活動が思い起こされる。

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