不評の「アベノマスク」年度内の廃棄指示 総理

 岸田文雄総理は21日の記者会見で、倉庫保管の維持費だけでもこれまでに6億円を超える事態になっている「アベノマスク」について「財政資金、効率化の観点から、布製マスクの政府在庫について、御希望の方に配布し、有効活用を図った上で(希望がなければ)年度内をめどに廃棄するよう指示した」と発表した。

 安倍元総理に気配りして、岸田総理は「未知のリスクである新型コロナへの対応は毎日が試行錯誤の連続。国民のためにより良いと思えば『経緯にとらわれず』迅速に対応を改めていくことも政治の役割」と語り、「昨年の春は多くの国民の皆さんが、マスクが全く手に入らず、お困りでした。政府が布製マスクを全国民に配布するとしたことで、マスクの製造、流通が回復し、今ではマスク不足に対する心配は完全に払拭されるなど、所期の目的は達成された」と当時の安倍政権の対応をフォローした。

 しかし「アベノマスク」は多額の税金を使いながら、不良品が多く、国民の不評を買って、配布されたマスクも使用されないままになっているケースがある。さらに今も8000万枚以上が倉庫にあり、厚労省が21億円近くをかけて行った検品作業の結果では約7100万枚のうち15%にあたる約1100万枚も不良品だったという。これまでかかった保管費だけで6億円を超えている。

 岸田総理は記者会見で「政府は5億枚を超える『高性能マスク』の備蓄を保有しており、いざという事態に十分対応できる状況になった」とも語った。(編集担当:森高龍二)

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