アルツハイマー新薬、日本でも承認見送り「現時点で承認困難」 新たな臨床試験データ追加求める

 新薬などについての効能を評価する厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の専門家部会が22日開かれ、アルツハイマー病の新薬として承認申請されていた「アデュカヌマブ」について審議し、承認を見送った。部会では提出された臨床試験のデータでは有効性を判断するのが困難だとしており、メーカーに対し追加の臨床試験データ提出を求める。

専門部会「臨床試験結果に一貫性がない」

 「アデュカヌマブ」は米バイオジェンと日本のエーザイが共同開発したアルツハイマー病に対する世界初の「治療薬」とされている。アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「アミロイドβ」を脳内から除去する機能があり、現在は遅らせることしかできていない病気の進行を抑制する効果があるといわれる。世界に先駆け今年6月にアメリカで条件付き承認されたが、EUでは先日、規制当局が承認申請を却下するなど評価が分かれており、日本ではどのような決定がなされるか注目されていた。

 この日の部会では、「18カ月間の投与で被験者の22%において症状の悪化を抑制した」などとする2つの臨床試験データについて議論が行われたが、「試験結果に一貫性がない」「アミロイドβの減少と症状抑制の関連性が不明」「一部に脳浮腫(むくみ)などがみられる」と厳しい意見が出され、現時点で承認することは見送り、追加の臨床試験データをメーカーに求めることとなった。部会では、新しいデータの提出を待って再度審議を行う方針。

(画像:Biogen提供)

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