【新型コロナ】政府、機内濃厚接触者の定義を縮小 機内全員から「前後2列まで」 待機施設ひっ迫で方針変更

 厚生労働省は27日、水際対策強化の一環として実施していた、空港検疫で判明したオミクロン株陽性者の濃厚接触者の定義を従来通りに戻すと発表した。具体的には同乗者全員を濃厚接触者としていたものを、陽性者が座っていた列含め、その前後2列までに縮小する。

「機内全員」の定義で濃厚接触者実に7000人

 オミクロン株に対する水際対策が、相次ぐ市中感染の判明で瀬戸際に立たされた。27日、厚生労働省はオミクロン株の国内流入を防ぐため、一時的に拡大していた機内の濃厚接触者の定義を28日から元に戻すとした。

 具体的には、搭乗者でオミクロン株の陽性者が出た場合、同じ便に乗っていた帰国者全員を濃厚接触者と定義し施設隔離の対象としていたのを変更。陽性者が座っていた列とともに、その前後2列に座っていた乗客までを濃厚接触者とし、それ以外の乗客は他の入国者と同様の扱いとする。

 厚労省はその理由として、これまでの強化した措置で濃厚接触者の検査をしたなかでは陽性率は0.1-2%に過ぎず、他の株と同様の処置に戻しても特に問題はないと判断したという。また濃厚接触者の検査、フォローアップを行う自治体からは隔離用の宿泊施設が用意できずひっ迫しているという事情もあるとみられる。実際、27日までに濃厚接触者と定義された人は述べ7000人にものぼっており、一部自治体では施設を用意できず、結局自宅待機になっているケースも相次いでいる。

 またこれまでは、ゲノム解析でオミクロン株と分かるまでは濃厚接触者に連絡していなかったため、空港からすでに離れ、連絡を取るのに時間がかかるケースもあった。これまで空港検疫の陽性者の8割はオミクロン株であったことから、28日からは、空港での検査で陽性となった場合、ゲノム解析の結果が出ずともその時点で「オミクロン株疑い」で扱い、すぐ濃厚接触者に連絡を取るという。

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