【2022年年頭所感/保険薬局経営者連合会山村真一会長】「20年先へ向けて予防など新しい領域へ踏み出そう」

【2022.01.04配信】保険薬局経営者連合会の山村真一会長は、「年頭所感」をメディア各社に公表した。デジタル技術を応用した顧客との関わりが求められるようになってきているとして、予防、管理といった未病領域への新しい展開が考えられるとしている。その上で、「そこに薬局、薬剤師の活路が開かれているという見方もできそうだ」として、「私たちは処方箋依存経営からの脱却という大きな課題の答えを出すためにも、ビジネス機会が拡大している今だからこそ10年、いや20年先の未来をできるだけ具体的に構想して、今すぐにでも新しい領域へ踏み出す決断を下しましょう」としている。

保険薬局経営者連合会山村真一会長の年頭所感は以下の通り。

新年明けましておめでとうございます。

一昨年来の新型コロナ禍によってもたらされた非日常は思いの外長期化し、人々に新しい生活様式を根付かせ、社会のデジタル化への移行と相まって、今私たちは、粛々と、しかし確実に変容している新しい時代への変化の真っただ中に置かれております。

そのような環境の中で、昨年はワクチン接種会場などにおいて薬剤師によるワクチン集団接種のサポート業務の実動や特例的な対応として薬局で医療用抗原定性検査キットの販売が認められたという動きは、薬局、薬剤師の社会貢献、公衆衛生への寄与という側面から、大変大きな一歩を踏み出したといえるのではないでしょうか。

また改正薬機法によって一昨年来、服薬フォローの義務化や認定薬局制度が動き出し、薬局の患者に対するサービスは更に深度を増すことになって、薬剤師の業務も増々多忙を極めることになってまいりましたが、私たちが決して忘れてはならないことは、日々の業務に流される事なく、大局観に立って、時代の流れ、社会の変化、国家、国民の要請を知るという事だと思います。

時代が急変している今、2年前までの教科書に書かれていたような未来は、その姿、時間軸の見直しが迫られており、変化している社会からはデジタル技術を応用した顧客、患者とのかかわり方が求められるようになってきていて、社会的観点から見た医薬品供給の在り方、地域における薬局の存在意義、薬局の機能、薬剤師の職能といった、私たちが存在する根本的な意義に対しても大きく再定義する必要性が出てまいりました。

特に多様化する新時代のニーズに応えるために、地域における医療連携、あるいは職種横断的な新しい連携だけではなく、未病の地域住民にも目を向け、「健康になる」というニーズにも応えられるように薬局・薬剤師の業務をヘルスケア領域にシフトさせることは必須ともいえる状況になってきたと思います。

そしてそれらは我が国が抱えている避けられない現実、人口減少、高齢化率の上昇による社会保障給付費、医療給付費、介護給付費の増加という問題解決の打ち手の一つとして貢献するという社会的意義を持つ事でもあります。

オンライン資格確認、電子処方箋といった具合にデジタルシフトのお膳立ては既に動き始めました。健康管理アプリ、リアルタイム健康モニタリングデバイスの進化、ボディー、ヘルスデザイン、個別化医療、無自覚症状や未病検知が可能になってくるウェアラブル医療機器の進化も見逃せません。AI診断支援や治療用アプリといったプログラム医療機器(SaMD)の進化も始まっています。

あまりにも急速な時代の変化にめまいを覚えそうですが、それは一方では予防、管理といった未病領域への活用といった新しい展開も考えられ、そこに薬局、薬剤師の活路が開かれているという見方もできそうです。

私たちは処方箋依存経営からの脱却という大きな課題の答えを出すためにも、ビジネス機会が拡大している今だからこそ10年、いや20年先の未来をできるだけ具体的に構想して、今すぐにでも新しい領域へ踏み出す決断を下しましょう。

私ども保険薬局経営者連合会(薬経連)は、本年も薬経連ならではの行動と情報発信を行ってまいりますので、皆様のご支援を何卒宜しくお願い申し上げます。

本年が皆さまにとって、新たなる飛躍の年となりますことを祈念いたします。

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